**   X線天文衛星「ひとみ」の失敗は

   「発注者のエンジニアリング」の失敗   **

 X線天文衛星「ひとみ」は、米国航空宇宙局や欧州宇宙機関等も参加した一大国際プロジェクトでした。平成28年2月17日の打ち上げに成功しましたが、3月26日、観測機器の試験運用中に、衛星の姿勢測定系のバグによりゆっくりと回転を始め、次いで、姿勢変更系のデータ入力ミスにより回転を猛烈に加速したため、遠心力で「ひとみ」は空中分解し、失われました。一大国際プロジェクトは、大成功を目前にして水泡と化したのです。

 原因を深堀りしてみますと、適切な発注者エンジニアリングの欠如(衛星メーカーに実現を求める機能要件と性能要件を、性能仕様書として的確にまとめ上げて発注することができなかった。)による全体最適化の失敗が、根本かつ最大の原因であったと思います。

 そこで、「ひとみ」が空中分解した直接的な原因や背景要因を分析することにより、発注者エンジニアリングの視点から、大規模な技術プロジェクトを破綻させないための要諦を具体的に解説しました。