* 外環道大深度地下トンネル工事 *

*  調布市内陥没事故発生の謎を解く  * 

日本市民安全学会・警察政策学会市民生活と地域の安全創造研究部会合同の研修会が、2022年10月15日(土)に開催されました。この研修会では、市民生活の安全を脅かした話として、【外環道大深度地下トンネル工事、調布市内陥没事故発生の謎を解く 〜 昔からの発注方法を難工事に用いたことが根本原因】の講演を行いました。

 

【講演の要旨】

 土木工事の発注には、工事仕様書で実現手段・手法を示し「この詳細施工図面どおりに作ってくれ」と要求する「仕様発注方式」と、要求水準書で実現目標を示し「このような機能・性能を備えたものを作ってくれ」と要求する「性能発注方式」があります。現場状況を目視確認できない難工事では、現場状況の変化に即応できる「情報化施工」が大きな効果を発揮するところですが、これには「性能発注方式」による取り組みが欠かせません。しかし、我が国の特に官公庁では「性能発注方式」の馴染みが薄く、もっぱら「仕様発注方式」が用いられています。調布市内陥没事故を引き起こした外環道大深度地下トンネル工事も、昔ながらの「仕様発注方式」でした。そこで、講演では、外環道大深度地下トンネル工事で用いられた「仕様発注方式」が、調布市内陥没事故を発生させた根本原因であることを分かりやすく解説しました。

 

【講師の略歴】

 1978年に京都大学()工学研究科修士課程を修了し、警察庁に入庁。警察大学校警察情報通信研究センター所長を退職後に技術士資格(電気電子部門)を取得して、2015年に技術士事務所を開業。

 警察では、1996年当時の九州管区警察局宮崎県情報通信部長として、「宮崎県警察本部ヘリコプターTVシステム整備事業」を、我が国では戦後初となる「性能発注方式」で完遂。この時に得た知見に基づき、その後に勤務した茨城、宮城、福岡、愛知、神奈川の各県では、建築・土木工事を含む数百件の警察情報通信システム整備事業の全てを「性能発注方式」で完遂。

 技術士事務所開業後は、「性能発注方式」の警察での実践と成功で得た知見を社会に幅広く還元していくため、国土交通省、地方自治体、民間団体等で数多の講演を実施。また、数十年来のライフワークである「性能発注方式」を集大成した書籍【「性能発注方式」発注書制作活用実践法】が、20229月に()新技術開発センターから出版された。

 

 

 

講演資料は、下記のクリックでご覧頂けます。