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令和5年4月15日、首相官邸と経済産業省と国土交通省の
各ホームページの「ご意見募集」等に提出した意見
【 テーマ 】
我が国製造業の活力を取り戻すには、性能発注方式の取組み方を零戦に学び直して実践することが必要です。
【 意見 】
2023年2月7日、三菱重工業は、約1兆円を投じた国産ジェット旅客機MSJ(旧名はMRJ)の開発を中止すると発表しました。2003年度に経済産業省のプロジェクトとして研究開発がスタートし、2011年度までに約500億円の国費も投入されて開発が進められ、2015年には初飛行に成功していたにもかかわらずです。商用運航に欠かせない国土交通大臣の型式証明を取得できる目処が立たなくなったためです。
ここで、型式証明取得に向けたプロセスについてですが、型式証明の申請者と航空当局との間で、申請された機体の安全性を確保するための要件(つまり、性能要件です。)を確定した上で、その要件への適合性を証明するための手法について合意し、その手法に従って適合性の審査を設計過程と製造過程にわたって進めるのです。これには、性能発注方式の取組み方(つまり、トレードオフ関係にある性能要件間の全体最適化をトップダウンで図る取組み方)で設計を行いつつ審査を受ける必要があります。
ところが、MSJでは、このようなプロセスを経ないままに設計され1号機が製造されてしまいました。半世紀以上前のYS-11の型式証明は、詳細設計図面の審査と実機の飛行試験結果に基づき取得できていたので、MSJでも同様の取得プロセスを前提としてしまったようです。YS-11では、ソフトウェアによる制御機能は皆無でしたので、機体の安全性はメカニカルな詳細設計図面の審査と実機の飛行試験結果から判定できたと言えます。他方、MSJでは、フライバイワイヤーなど、多くの制御機能がソフトウェアで実現しています。ソフトウェアは直接目にすることができませんので、メカニカルな詳細設計図面を徹底的に審査してみても、ソフトウェアで実現している機能・性能やその信頼性は全く判定できないのです。このことが、MSJの型式証明を取得できる目処が立たなくなった最大の原因です。
つまり、MSJの開発失敗により我が国の基幹産業育成の夢が潰えてしまったことの根源にある問題点は、MSJの直接的な関係者である三菱重工業、経済産業省、国土交通省のいずれも、欧米諸国では常識となっている性能発注方式の取組み方が全く分かっていなかったことです。実際のところ、我が国の製造業分野の企業で、性能発注方式の取組み方が分かっていて実践しているところは見当たりません。昭和34年1月に発出された建設事務次官通達を端緒とする仕様発注方式(つまり、詳細仕様を確定させた設計図面に基づき製造や施工を求める方式であり、ボトムアップによる部分最適化が基本です。)が、土木・建築工事の分野のみならず各種製造請負の分野にも瞬く間に波及して今日に至っているからです。このため、他国に類を見ないガラパゴス的な仕様発注方式の取組み方が、我が国ではあらゆる分野において「常識」となってしまっているのです。
ここで、製造業の分野において特に危惧されることは、これからはハードウェアがコモディティ化してソフトウェアが機能・性能を大きく左右するようになっていくことです。ハードウェアは、詳細設計を示す仕様発注方式の取組み方(つまり、「この通りに作ってくれ」といった取組み方)で出来ますが、ソフトウェアは、性能要件を示す性能発注方式の取組み方(つまり、「このようなものを作ってくれ」といった取組み方)でなければ対処できません。この点についての無理解が、これからの我が国の足を引っ張り続けること必定です。
我が国の製造業にとっての不幸は、性能発注方式の取組み方で大成功した事例、つまり、モデルとすべき理想的な取組み事例が戦後の国内には無いことです。そこで、戦前にまで目を向けますと、性能発注方式の取組み方で大成功した零戦に辿り着きます。零戦が成功した秘訣は二つです。すなわち、発注者である旧日本海軍が部内開発会議で検討を重ねて「ニーズとシーズをベストマッチング」した結果をたった1枚の計画要求書にまとめ上げたことと、受注者である三菱重工業では堀越二郎設計主務が「トップダウンによる全体最適化」を達成したことです。MSJの開発失敗を見る限り、三菱重工業ですら、零戦の成功体験を見失ってしまっているようです。
それゆえ、欧米諸国では常識となっている性能発注方式の真髄、つまり、発注者側における「ニーズとシーズのベストマッチング」と受注者側における「トップダウンによる全体最適化」を達成する上での極意を、零戦の開発プロセスに一刻も早く学び直すことが、我が国の製造業における活力を取り戻す大きな切り札となります。
以上を、意見として具申致します。
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令和5年4月1日、首相官邸と総務省と国土交通省の
各ホームページの「ご意見募集」等に提出した意見
【 テーマ 】
性能発注方式は性能規定発注方式として殊更に難しく捉えると逆に失敗します。
【 意見 】
それではどうすれば良いのか、についてですが、受注者側に対して、「このようなものを作って欲しい。」といった「要求要件」を、受注者側が設計・製造する上で必要十分となるように簡潔明瞭に箇条書きすれば、それだけで理想的な要求水準書が出来上がるのです。自宅を新築する場合を思い浮かべてみれば、このことが分かりやすいと思います。自宅新築時には、次のように、誰でもごく自然に性能発注方式の取組み方で発注しているからです。
自宅新築時には、設計・施工を依頼したい建設業者に、「希望」を伝えるところから始まります。具体的には、「このような立地条件でこのような広さの土地に住宅を建てたい。坪数はこれ位にしたい。二階建ての洋風でクラシックな感じにしたい。二階にはバルコニーを設けたい。明るくて開放的なリビングにしたい。玄関は南向きにしたい。大きな地震に耐えられるようにしたい。2台分の車庫を設けたい。・・・」などの「希望」を伝えます。建設業者は、このような「希望」に基づいて詳細設計を行い、施工図面を作成します。詳細設計を行う上で、まだ不足するところについては、「ここはどうしたいですか?」と、建設業者はさらに「希望」を聴いてきます。実は、発注者としてのこのような「希望」を必要十分に箇条書きにしたものが、性能発注方式における発注書(要求水準書)なのです。ここで、「二階にバルコニーを設けること」は、有るか無いかを規定する「機能要件」です。また、「大きな地震に耐えられるようにすること」は、どの程度かを規定する「性能要件」です。このように、性能発注方式で用いる要求水準書には、決まった様式は無く、その作成を難しく考える必要もありません。受注業者に実現してもらいたい目標をしっかりとイメージして、つまり、コンセプトを明確にして、「このようなものを創り上げて欲しい。」ということを、受注業者に分かりやすく伝える工夫が最も重要となります。
このように、我が国でも一般人が自宅を新築する場合には、誰でもごく自然に性能発注方式を実践しているのです。つまり、必要に迫られた場合に常識的に対処すれば、誰でも性能発注方式を効果的に実践することができると言えます。
以上を、意見として具申致します。
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令和5年3月31日、首相官邸と文部科学省の
各ホームページの「ご意見募集」等に提出した意見
【 テーマ 】
欧米諸国では常識となっている性能発注方式の真髄を、戦前の零戦の開発プロセスに学び直すことが、我が国の活力を取り戻す大きな切り札となります。
【 意見 】
3月7日のH3ロケット打ち上げ失敗は、我が国の宇宙開発に取り返しがつかない程の痛手を負わせてしまいました。JAXAは三菱重工にH3の開発から製造までを委託(欧米の常識からすれば、受注者に委ねるべき設計には発注者は立ち入らない「真の性能発注方式」で委託するところです。)していますが、ロケットエンジンについては従前通りにJAXAが開発と設計を行っており、その製造を三菱重工に委ねています。
零戦の後継機「烈風」は、零戦と同様の性能発注方式で開発から製造までを旧日本海軍が三菱重工に委託したのですが、旧日本海軍は、三菱重工に委ねるべき設計(空戦性能に関わる発動機出力と翼面荷重)に立ち入ってしまいました。その結果、三菱重工は海軍から求められた性能要件を全て満たす(つまり、全体最適化です。)ことが困難となり、開発は失敗(海軍は開発計画を破棄)してしまいました。国運をも左右したと言えるこの教訓が、今日の我が国ではJAXAを含めて全く顧みられていないと思います。
また、今日ではロケットの信頼性に関わる制御機能をソフトウェアで実現しています。しかし、JAXAは、ロケットや人工衛星の製造発注に先立ち、東大宇宙航空研究所由来の「設計審査会」でメカニカルな詳細設計を審査していますが、目に見えないソフトウェアについてはその機能、性能や信頼性を設計審査会で審査することなど不可能です。
7年前の話ですが、NASA等との国際協力ミッションであったX線天文衛星「ひとみ」は、設計審査会を通った設計図面に基づきNECが製造して打ち上げられたのですが、ソフトウェアのバグ(短時間の「フリーズ」です。)とデータの誤入力(絶対値とすべきところをマイナス記号を付けたままとしたことです。)が主因となり、衛星軌道上で異常な高速回転を起こしてバラバラに分解してしまいました。ところが、この「ひとみ」の大失敗の元凶となった設計審査会での審査のあり方について、JAXAは全く見直すことなく今日でも従前通りに踏襲してしまっているようです。H3の2段目のロケットエンジンの制御もソフトウェア抜きでは考えられませんので、ソフトウェアについての審査ができないJAXAの設計審査会では、今日のロケットの信頼性や安全性についての審査ができていないと言っても過言ではないと思います。
話を更に拡げますと、戦後の我が国では、製造業の分野でも仕様発注方式の取組み方(つまり、ボトムアップによる部分最適化を図る取組み方)しかできなくなっているため、三菱重工が1兆円を投じて開発した旅客機MSJ(旧名はMRJ)は革新的技術を産むこと無く完全に失敗し、JAXAと三菱重工が共同開発したH3ロケットも失敗してしまいました。三菱重工は、戦前に性能発注方式の取組み方(つまり、トップダウンにより全体最適化を図る取組み方)で大成功した零戦の開発経験を全く見失ってしまったのではないでしょうか。
我が国では、公共工事の分野でも、性能発注方式による成功事例は「新国立競技場」の他には見当たらないところですが、製造業の分野では、性能発注方式による成功事例は何一つとして見当たりません。ここで、特に危惧されることは、これからはハードウェアがコモディティ化してソフトウェアが機能・性能を大きく左右するようになっていくことです。ハードウェアは、仕様発注方式の取組み方で出来ますが、ソフトウェアは、性能発注方式の取組み方でなければ対処できません。この点についての無理解が、これからの我が国の足を引っ張り続けること必定と思います。
そこで、欧米諸国では常識となっている性能発注方式の真髄、つまり、発注者側における「ニーズとシーズのベストマッチング」と受注者側における「トップダウンによる全体最適化」を達成する上での極意を、零戦の開発プロセスに一刻も早く学び直すことが、我が国の活力を取り戻す大きな切り札となります。
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令和5年3月、全国の全自治体に提言を提出しました。
【 タイトル 】
仕様発注方式は資材価格上昇に対処困難であり、各地の自治体で建設工事の入札不成立が多発しています。
【 提言 】
令和5年2月6日付の日経電子版記事「公共インフラ着工できない 物価高で入札不成立」によれば、自治体施設の建設工事の入札不成立が全国で相次いでいます。資材価格が上昇しているため、入札に先立ち自治体が設定した予定価格では、応札しようとする業者の採算がとれなくなる恐れがあることが共通の原因です。また、令和5年2月4日付の日経電子版記事「大阪万博、背を向けるゼネコン 採算低下で入札不成立」によれば、万博会場建設工事の予定価格設定後に資材価格が上昇したため、昨年6月以降に実施した21件の入札の内の10件が不成立に終わっています。
上記の入札不成立案件は、いずれも仕様発注方式(設計と施工を分離して発注する方式であり、施工発注時の予定価格は、工事仕様書に基づく緻密な積算により策定)です。仕様発注方式では、使用する資材や工法は工事仕様書で詳細に規定しているため、施工受注者の裁量の余地はありません。また、予定価格策定時の資材価格は、一般財団法人建設物価調査会が毎月刊行する「建設物価」に基づきます。このため、予定価格設定後に資材価格の上昇が見込まれたとしても、その上昇リスク分を予定価格に反映させることはできません。従って、仕様発注方式では、資材価格の上昇に打つ手が無いと言えます。
ところで、欧米諸国での建設工事の発注は、規模の大小を問わず性能発注方式(設計と施工を一括して発注する方式であり、発注時の予定価格は、要求要件を示した要求水準書に基づく業者見積の徴収・査定により策定)です。性能発注方式では、使用する資材や工法は、要求要件を満たす限り受注者の裁量で決める(承認図書で発注者の承認を得る必要)ことができます。このため、資材価格の上昇が見込まれる場合には、受注希望業者は、その上昇リスク分を見積価格や入札価格に反映できる上に、最先端技術の活用や創意工夫により使用する資材や工法の最適化ができます。
我が国では、新国立競技場整備事業が、性能発注方式で成功した唯一の公設公営事業です。新国立競技場は、仕様発注方式による整備に向けて2年半もの設計委託期間と60億円余りの設計委託費を費やした挙句に、工事費試算額の高騰により事業計画全体が白紙撤回され破綻しました。しかし、その翌月には性能発注方式で蘇り、外部委託せずに1ヶ月ほどで作成した要求水準書に基づき、業者選定、設計、施工の各プロセスが滞り無く進み、当初の予定どおりに新国立競技場は完成したのです。
我が国では、仕様発注方式による失敗を仕様発注方式の手直しで克服しようとしてきましたが、成功事例は殆ど見られません。新国立競技場整備事業は、仕様発注方式による失敗を性能発注方式に切り替えて克服できた初の事例です。このことから、資材価格上昇等により仕様発注方式では失敗しそうな場合には、最初から性能発注方式とすることが望まれます。
問題は、我が国の自治体では、性能発注方式の実践経験が殆ど無いことです。加えて、多くの自治体では、性能発注方式を「性能規定発注方式」として殊更に難しく捉えてしまっています。しかし、性能発注方式を難しく考える必要は無いのです。
なぜならば、どの自治体でも設計委託発注時には、性能発注方式の取組み方だからです。仮に、仕様発注方式の取組み方であれば「このとおりに設計してくれ」となりますが、これは極めて不自然であり得ないことです。そこで、実際には、「このようなものを設計して欲しい」といった要求要件を暗示的に設計業者に伝えています。これらは要求要件ですから、明示的に纏めれば紛れもない要求水準書となります。このような要求水準書を用いれば、設計委託発注時に、複数業者による価格と技術の両面での競争原理が働くようになります。
さらに一歩進んで、「このようなものを設計して欲しい」とした要求要件を、「このようなものを作って欲しい」に修正するだけで、自治体が性能発注方式で設計・施工一括発注するための要求水準書となるのです。
最後になりますが、自治体が設計・施工一括発注する際の対象業者は、設計能力を有する施工業者に限る必要は無く、従前から設計を請け負ってきた設計専門業者も対象にできます。設計専門業者が受注した場合の施工については、設計専門業者と付き合いのある地元の施工専門業者に下請(事前に書面による発注者の承認が必要)させれば良いからです。設計能力を有しない地元の施工専門業者についても同様(設計については書面による発注者の承認を得て設計専門業者に下請)です。
以上を、ご回答不要の提言として◯◯◯に具申しますので、真摯なご検討を賜れば幸甚に存じます。(◯◯◯には提言先の自治体名が入ります。)
【 追伸 】
全国に1700余りある自治体のほぼ全てに対して、3回にわたって提言を提出致しました。1つの自治体に1つの提言を提出するには少なくとも数分間を要しますので、これを約五千回繰り返したことになります。このように膨大な手間暇がかかりましたが、手応えは感じております。つまり、1回目の提言に対しては、仕様発注方式をあからさまに是として擁護するような反応が多く見受けられましたが、2回目の提言に対しては、仕様発注方式をあからさまに是として擁護するような反応は影を潜め、性能発注方式についても検討していきたいといった反応へと変化したのです。そこで、この度の3回目の提言に対しては、この先、従前通りの仕様発注方式に拘った挙句に失敗した場合には「不作為責任」を問われかねない、といった「感覚」が自治体に芽生えることを大いに期待しているところです。
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令和5年2月23日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
工事仕様書に基づく積算により予定価格を策定する仕様発注方式では、資材価格が上昇するリスクへの対処が難しいため、全国各地の自治体や大阪万博会場で建設工事の入札が成立しない事態が多発しています。
【 意見 】
令和5年2月6日付の日経電子版記事「公共インフラ着工できない 物価高で入札不成立」によれば、自治体施設の建設工事の入札不成立が全国で相次いでいます。資材価格が上昇しているため、入札に先立ち自治体が設定した予定価格では、応札しようとする業者の採算がとれなくなる恐れがあることが共通の原因です。また、令和5年2月4日付の日経電子版記事「大阪万博、背を向けるゼネコン 採算低下で入札不成立」によれば、万博会場建設工事の予定価格設定後に資材価格が上昇したため、昨年6月以降に実施した21件の入札の内の10件が不成立に終わっています。
上記の入札不成立案件は、いずれも仕様発注方式(設計と施工を分離して発注する方式であり、施工発注に先立つ予定価格は、工事仕様書に基づく緻密な積算により策定)です。仕様発注方式では、使用する資材や工法について工事仕様書で詳細に規定しているため、施工受注者の裁量の余地はありません。また、予定価格策定時の資材価格は、一般財団法人建設物価調査会が毎月刊行する「建設物価」に基づきます。このため、予定価格設定後に資材価格の上昇が見込まれたとしても、その上昇リスク分を予定価格に反映させることはできません。従って、仕様発注方式では、資材価格の上昇に打つ手が無いと言えます。
ところで、欧米諸国での建設工事の発注は、規模の大小を問わず性能発注方式(設計と施工を一括して発注する方式であり、発注に先立つ予定価格は、要求要件を示した要求水準書に基づく業者見積の徴収・査定により策定)です。性能発注方式では、使用する資材や工法は、要求要件を満たす限り受注者の裁量で決める(承認図書で発注者の承認を得る必要)ことができます。このため、資材価格の上昇が見込まれる場合には、受注希望業者は、その上昇リスク分を見積価格や入札価格に反映させることができ、また、最先端技術の活用や創意工夫により使用する資材や工法の最適化ができます。
我が国では、新国立競技場整備事業が、性能発注方式で成功した唯一の公設公営事業です。新国立競技場は、仕様発注方式による整備に向けて2年半もの設計委託期間と60億円余りの設計委託費を費やした挙句に、工事費試算額の高騰により事業計画全体が白紙撤回され破綻しました。しかし、その翌月には性能発注方式で蘇り、1ヶ月ほどで作成した要求水準書に基づき、業者選定、設計、施工の各プロセスが何の滞りも無く進行した結果、新国立競技場は当初の予定どおりに完成したのです。
我が国では、仕様発注方式による失敗を仕様発注方式の手直し・改善により克服しようとしてきましたが、上手くいった事例は殆ど見られません。新国立競技場整備事業は、仕様発注方式による失敗を性能発注方式に切り替えることにより完全に克服できた初の事例です。このことから、資材価格の上昇等により仕様発注方式では失敗しそうな場合には、最初から性能発注方式とすることが望まれるところです。
問題は、我が国の自治体では、性能発注方式の実践経験が殆ど無いことです。加えて、多くの自治体では、性能発注方式を「性能規定発注方式」として殊更に難しく捉えてしまっています。しかし、性能発注方式を難しく考える必要は無いのです。
なぜならば、どの自治体でも設計委託時には、性能発注方式の取組み方でやっているからです。仮に、仕様発注方式の取組み方であれば「このとおりに設計してくれ」となりますが、これは極めて不自然でどう見てもあり得ません。そこで、実際には、「このようなものを設計して欲しい」といった要求要件を暗示的に設計業者に伝えています。これらは要求要件ですから、明示的に纏めれば紛れもない要求水準書となります。このような要求水準書を用いれば、設計委託発注時に、複数業者による価格と技術の両面での競争原理を働かせることができます。
さらに一歩進んで、「このようなものを設計して欲しい」とした要求要件を、「このようなものを作って欲しい」に修正するだけで、自治体が性能発注方式で設計・施工一括発注するための要求水準書となるのです。
最後になりますが、自治体が設計・施工一括発注する際の対象業者は、設計能力を有する施工業者に限る必要は無く、従前から設計を請け負ってきた設計専門業者も対象にできます。設計専門業者が受注した場合の施工については、設計専門業者と付き合いのある地元の施工専門業者に下請(事前に書面による発注者の承認が必要)させれば良いからです。設計能力を有しない地元の施工専門業者についても同様(設計については書面による発注者の承認を得て設計専門業者に下請)です。
以上を、首相官邸への意見として具申致します。
【 上記意見を総務省と国土交通省にも提出しました。】
◯ 令和5年2月23日、総務省ホームページの「ご意見・ご提案の受付」を通じて、また、国土交通省ホームページの「ホットラインステーション」を通じて、上記と同内容の意見を提出しました。
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令和5年2月、全国の全自治体に提言を提出しました。
【 タイトル 】
◯◯◯の小規模工事(老朽インフラ補修工事、道路補修工事、水道管更新工事)こそ、性能発注方式が最適です。(◯◯◯には提言先の自治体名が入ります。)
【 提言 】
令和4年12月7日のNHK「おはよう日本」では、老朽インフラ点検で早急な補修が必要と判断された後、自治体の財政難や人材不足により、5年を超えても未補修のままの橋やトンネルが全国に7千箇所余りあると報道されました。建設後50年超の老朽橋の割合が現在の約3割から10年後には約6割に倍増することや、老朽インフラ対策は特に小規模の自治体で予算や人員が厳しいため十分に進んでいないと国土交通省が認識していることも報道されました。
しかし、自治体の人材不足解消の見込みは無いため、自治体の補修工事発注業務を効率化しない限り、未補修のままの老朽インフラは増加の一途を辿ります。それゆえ、老朽インフラ対策で喫緊の課題は、補修工事発注業務の効率化です。
ところで、自治体の老朽インフラ補修工事は、道路補修工事や水道管更新工事と同じ仕様発注方式で実施されています。仕様発注方式とは、詳細仕様を確定させた工事仕様書を準備して積算で予定価格を策定した上で施工を発注する方式であり、自治体には多大な発注業務負担がかかっています。そこで、性能発注方式に切替えれば、自治体の発注業務負担を数分の1にできます。性能発注方式は、要求要件を示す要求水準書を準備して見積書の徴収査定で予定価格を策定した上で設計と施工を一括発注するからです。自治体の発注業務負担について、水道管更新工事の不適切発注事案を例として次に記載致します。
大阪市水道局では、仕様発注方式に起因する水道管更新工事の不適切発注事案が令和元年に発覚しました。平成24年から29年に大阪市水道局が発注した千件余りの水道管更新工事の9割強(五百社近い業者が関与)で、工事仕様書の指定と異なる安価な埋戻材料が使用されていました。仕様発注方式での工事完遂に欠かせない「発注者側による監督」が、殆ど行われていませんでした。業務多忙が原因です。大阪市水道局では、年間約70kmの水道管更新工事の発注業務に190人の専従職員がいますが、仕様発注方式では、工事場所ごとに詳細な施工図面を作成して緻密な積算で予定価格を策定するため、発注前の業務に多大な労力を要するからです。このような仕様発注方式を用いてきた結果、大阪市水道局では、道路の耐久性を今更調べることも困難な状況を招いてしまいました。
この問題の抜本的解決策は、性能発注方式への切替です。性能発注方式では、監督の徹底を含めて、従前の数分の1の職員で対応できます。なぜならば、性能発注方式では、場所を変えて同種工事を繰り返す場合には、要求水準書は、要求要件に係る文言の一部修正と現場の写真・見取図の差替で迅速的確に作成できるからです。予定価格も、複数の受注希望業者(設計と施工のいずれの業者でもOK)から徴収した見積書の査定により、迅速的確に策定できるからです。つまり、性能発注方式は、自治体の小規模工事(老朽インフラ補修工事、道路補修工事、水道管更新工事)に最適と言えます。
ところが、全国の殆どの自治体は、性能発注方式を忌避してしまっています。
自治体では、性能発注方式の活用に向けて、設計・施工一括発注方式(性能発注方式)実施要綱・要領の整備が20年以上前から全国的に進められています。しかし、どの実施要綱・要領でも、性能発注方式の対象工事を技術的に高難度な工事(これでは、自治体の小規模工事は全て性能発注方式の対象外となります)としているため、どの自治体でも性能発注方式の活用は不発のままです。加えて、どの自治体でも、地域内小規模業者の受注機会確保の観点から、地域のより多くの業者への発注を目的として、設計・施工分離の仕様発注方式を促進しているのです。
しかし、性能発注方式は、小規模工事を地域内業者に発注したい場合にこそ、大きな効果を発揮します。やり方が問題ですから、管区警察局県情報通信部への会計検査院会計検査(平成13年茨城、平成17年福岡、平成20年と23年神奈川)で「適正に経理されている。」旨の講評を頂いた性能発注方式のやり方を以下に記載致します。ちなみに、会計検査の対象は、土木・建築工事を含めた大中小規模の警察情報通信システム整備工事でした。
要求水準書は、設計・施工上必要十分となる要求要件の記載が肝要です。予定価格は、書面決裁で選定した複数業者(候補業者は、従前からの設計業者や施工業者のいずれでもOK)に、要求水準書付の文書で見積依頼して、徴収した見積書の査定で予定価格を策定します。この際、見積書の日付、有効期限、宛先、件名、見積者氏名・捺印の確認と、要求水準書の要求要件について計上漏れが無いかの確認が肝要です。
以上を、◯◯◯への提言として具申致します。
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令和5年1月31日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
自治体の小規模工事(老朽インフラ補修工事、道路補修工事、水道管更新工事)こそ、性能発注方式が最適です。
【 意見 】
令和4年12月7日のNHK「おはよう日本」では、老朽インフラ点検で早急な補修が必要と判断された後、自治体の財政難や人材不足により、5年を超えても未補修のままの橋やトンネルが全国に7千箇所余りあると報道されました。建設後50年超の老朽橋の割合が現在の約3割から10年後には約6割に倍増することや、老朽インフラ対策は特に小規模の自治体で予算や人員が厳しいため十分に進んでいないと国土交通省が認識していることも報道されました。
しかし、自治体の人材不足解消の見込みは無いため、自治体の補修工事発注業務を効率化しない限り、未補修のままの老朽インフラは増加の一途を辿ります。それゆえ、老朽インフラ対策で喫緊の課題は、補修工事発注業務の効率化です。
ところで、自治体の老朽インフラ補修工事は、道路補修工事や水道管更新工事と同じ仕様発注方式で実施されています。仕様発注方式とは、詳細仕様を確定させた工事仕様書を準備して積算で予定価格を策定した上で施工を発注する方式であり、自治体には多大な発注業務負担がかかっています。そこで、性能発注方式に切替えれば、自治体の発注業務負担を数分の1にできます。性能発注方式は、要求要件を示す要求水準書を準備して見積書の徴収査定で予定価格を策定した上で設計と施工を一括発注するからです。自治体の発注業務負担について、水道管更新工事の不適切発注事案を例として次に記載致します。
大阪市水道局では、仕様発注方式に起因する水道管更新工事の不適切発注事案が令和元年に発覚しました。平成24年から29年に大阪市水道局が発注した千件余りの水道管更新工事の9割強(五百社近い業者が関与)で、工事仕様書の指定と異なる安価な埋戻材料が使用されていました。仕様発注方式での工事完遂に欠かせない「発注者側による監督」が、殆ど行われていませんでした。業務多忙が原因です。大阪市水道局では、年間約70kmの水道管更新工事の発注業務に190人の専従職員がいますが、仕様発注方式では、工事場所ごとに詳細な施工図面を作成して緻密な積算で予定価格を策定するため、発注前の業務に多大な労力を要するからです。このような仕様発注方式を用いてきた結果、大阪市水道局では、道路の耐久性を今更調べることも困難な状況を招いてしまいました。
この問題の抜本的解決策は、性能発注方式への切替です。性能発注方式では、監督の徹底を含めて、従前の数分の1の職員で対応できます。なぜならば、性能発注方式では、場所を変えて同種工事を繰り返す場合には、要求水準書は、要求要件に係る文言の一部修正と現場の写真・見取図の差替で迅速的確に作成できるからです。予定価格も、複数の受注希望業者(設計と施工のいずれの業者でもOK)から徴収した見積書の査定により、迅速的確に策定できるからです。つまり、性能発注方式は、自治体の小規模工事(老朽インフラ補修工事、道路補修工事、水道管更新工事)に最適と言えます。
ところが、全国の殆どの自治体は、性能発注方式を忌避してしまっています。
自治体では、性能発注方式の活用に向けて、設計・施工一括発注方式(性能発注方式)実施要綱・要領の整備が20年以上前から全国的に進められています。しかし、どの実施要綱・要領でも、性能発注方式の対象工事を技術的に高難度な工事(これでは、自治体の小規模工事は全て性能発注方式の対象外となります)としているため、どの自治体でも性能発注方式の活用は不発のままです。加えて、どの自治体でも、地域内小規模業者の受注機会確保の観点から、地域のより多くの業者への発注を目的として、設計・施工分離の仕様発注方式を促進しているのです。
しかし、性能発注方式は、小規模工事を地域内業者に発注したい場合にこそ、大きな効果を発揮します。やり方が問題ですから、管区警察局県情報通信部への会計検査院会計検査(平成13年茨城、平成17年福岡、平成20年と23年神奈川)で「適正に経理されている。」旨の講評を頂いた性能発注方式のやり方を以下に記載致します。ちなみに、会計検査の対象は、土木・建築工事を含めた大中小規模の警察情報通信システム整備工事でした。
要求水準書は、設計・施工上必要十分となる要求要件の記載が肝要です。予定価格は、書面決裁で選定した複数業者(候補業者は、従前からの設計業者や施工業者のいずれでもOK)に、要求水準書付の文書で見積依頼して、徴収した見積書の査定で予定価格を策定します。この際、見積書の日付、有効期限、宛先、件名、見積者氏名・捺印の確認と、要求水準書の要求要件について計上漏れが無いかの確認が肝要です。
以上を、意見として具申致します。
【 上記意見を総務省と国土交通省にも提出しました。】
◯ 令和5年1月31日、総務省ホームページの「ご意見・ご提案の受付」を通じて、上記と同じ内容の意見を提出しました。
◯ 令和5年1月31日、国土交通省ホームページの「ホットラインステーション」を通じて、上記とほぼ同内容の意見を提出しました。
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令和5年1月、全国の全自治体に提言を提出しました。
【 タイトル 】
昭和30年代に適合した仕様発注方式では、◯◯◯の発注者責任が全うできません。(◯◯◯には提言先の自治体名が入ります。)
【 提言 】
◯◯◯が実施する工事は、他国に類を見ない我が国独自の仕様発注方式(詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づいて、緻密な積算により予定価格を策定した上で、施工を発注する方式)で発注しています。「設計・施工の分離の原則」を絶対視しようとする勘違いが、◯◯◯にも浸透しているからです。その結果、グローバルスタンダードな性能発注方式(実現を求める要求要件を規定した要求水準書に基づいて、見積書の徴収・査定により予定価格を策定した上で、設計と施工を一括発注する方式)の活用が、全く忌避されています。
ところで、新国立競技場整備事業は、仕様発注方式で大失敗し破綻したのですが、性能発注方式(公共工事の品質確保の促進に関する法律第18条に規定された方式)で復活し成功しました。この事例から、性能発注方式には、仕様発注方式に起因する諸問題を解決するパワーがあることが明らかです。
そこで、性能発注方式の活用を忌避させている前記の勘違いが、「法令上の根拠規定を欠いた勘違い」であることを次に記載します。
「設計・施工の分離の原則」は、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」の中で打ち出されたものです。この通達を端緒として、「設計・施工の分離の原則」に基づく仕様発注方式が、法令上の根拠規定を欠いたまま、土木分野のみならず建築分野等も含めて全国に浸透し今日に至っているのです。
問題は、今日では官民の技術力が逆転していることです。戦前の土木・建築の公共工事は、全てが官庁直営方式でした。このため、昭和30年代は、民間に比べて官庁の技術力が圧倒的に上でした。仕様発注方式は、このような時代に適合して生まれたのです。しかし、昭和から平成に移り変わる頃に官民の技術力は逆転し始め、今日では、民間が最先端の技術力を有しています。
それゆえ、「この工事仕様書のとおりにやってくれ」といった仕様発注方式は、今日ではあたかも、技術力に劣る者が優る者に対して指図するような、おこがましい状況にあります。このことが、近年多発している「施工結果における責任問題」に直結しています。つまり、仕様発注方式では、発注者が示した工事仕様書に従った施工で生じた不具合の責任は、工事仕様書を示した発注者が負うことになるのです。これは、外部委託で作成した設計図書の誤りに起因する施工時の不具合についても同じであり、設計図書に基づく工事仕様書を示した発注者の責任は免れません。
このことを具体的にご理解頂くために、仕様発注方式に起因して大阪府が発注者責任を問われた事例を次に記載します。
2021年9月28日付の日経クロステック記事「調節池整備に伴う地盤沈下で大阪府に賠償命令、施工者は免責」によれば、大阪府が東大阪市に整備した宝町調節池の竣工から4年後に、調節池に隣接する民間工場の経営者から、整備工事で工場地盤が不同沈下して被害を受けたとして、損害賠償訴訟が提起されました。2021年9月、大阪地裁は判決で、設計段階での不同沈下対策の不備が原因として、大阪府の過失責任を認めて賠償を命じています。他方、施工業者の過失責任は否定しています。
宝町調整池整備事業は、仕様発注方式でした。大阪府が示した工事仕様書に従った施工が不具合を生じたのですから、大阪府が責任を負うことになったのです。
このような問題は、性能発注方式で解決できます。性能発注方式では、要求要件を示す要求水準書を用います。そこで、宝町調整池整備事業を例とすれば、実現を求める要求要件の一つとして「現場での工事は、第三者及び既存施設に害を及ぼさないように実施すること」を規定しておくことにより、受注業者の責任で設計と施工を通じた工場地盤の不同沈下対策ができるのです。
仕様発注方式を性能発注方式に切り替えていく上でのモデル事例は、前記の新国立競技場整備事業です。工事規模の大小に関わらず、性能発注方式の基本的な取組み方や考え方は同じですから、新国立競技場整備事業は、理想的な要求水準書を作成した貴重なモデル事例であり、要求水準書に基づく業者見積もりの査定により予定価格を策定する上でのモデル事例となります。
以上を、提言として具申致します。
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令和4年12月30日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
昭和30年代に適合した仕様発注方式では、全国の自治体の発注者責任が全うできません。
【 意見 】
全国の自治体が実施している工事は、他国に類を見ない我が国独自の仕様発注方式(詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づいて、緻密な積算により予定価格を策定した上で、施工を発注する方式)で発注しています。「設計・施工の分離の原則」を絶対視しようとする勘違いが、全国の自治体に浸透しているからです。その結果、グローバルスタンダードな性能発注方式(実現を求める要求要件を規定した要求水準書に基づいて、見積書の徴収・査定により予定価格を策定した上で、設計と施工を一括発注する方式)の活用が、全く忌避されています。
ところで、新国立競技場整備事業は、仕様発注方式で大失敗し破綻したのですが、性能発注方式(公共工事の品質確保の促進に関する法律第18条に規定された方式)で復活し成功しました。この事例から、性能発注方式には、仕様発注方式に起因する諸問題を解決するパワーがあることが明らかです。
そこで、性能発注方式の活用を忌避させている前記の勘違いが、「法令上の根拠規定を欠いた勘違い」であることを次に記載します。
「設計・施工の分離の原則」は、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」の中で打ち出されたものです。この通達を端緒として、「設計・施工の分離の原則」に基づく仕様発注方式が、法令上の根拠規定を欠いたまま、土木分野のみならず建築分野等も含めて全国に浸透し今日に至っているのです。
問題は、今日では官民の技術力が逆転していることです。戦前の土木・建築の公共工事は、全てが官庁直営方式でした。このため、昭和30年代は、民間に比べて官庁の技術力が圧倒的に上でした。仕様発注方式は、このような時代に適合して生まれたのです。しかし、昭和から平成に移り変わる頃に官民の技術力は逆転し始め、今日では、民間が最先端の技術力を有しています。
それゆえ、「この工事仕様書のとおりにやってくれ」といった仕様発注方式は、今日ではあたかも、技術力に劣る者が優る者に対して指図するような、おこがましい状況にあります。このことが、自治体で近年多発している「施工結果における責任問題」に直結しています。つまり、仕様発注方式では、発注者が示した工事仕様書に従った施工で生じた不具合の責任は、工事仕様書を示した発注者が負うことになるのです。これは、外部委託で作成した設計図書の誤りに起因する施工時の不具合についても同じであり、設計図書に基づく工事仕様書を示した発注者の責任は免れません。
このことを具体的にご理解頂くために、仕様発注方式に起因して大阪府が発注者責任を問われた事例を次に記載します。
2021年9月28日付の日経クロステック記事「調節池整備に伴う地盤沈下で大阪府に賠償命令、施工者は免責」によれば、大阪府が東大阪市に整備した宝町調節池の竣工から4年後に、調節池に隣接する民間工場の経営者から、整備工事で工場地盤が不同沈下して被害を受けたとして、損害賠償訴訟が提起されました。2021年9月、大阪地裁は判決で、設計段階での不同沈下対策の不備が原因として、大阪府の過失責任を認めて賠償を命じています。他方、施工業者の過失責任は否定しています。
宝町調整池整備事業は、仕様発注方式でした。大阪府が示した工事仕様書に従った施工が不具合を生じたのですから、大阪府が責任を負うことになったのです。
このような問題は、性能発注方式で解決できます。性能発注方式では、要求要件を示す要求水準書を用います。そこで、宝町調整池整備事業を例とすれば、実現を求める要求要件の一つとして「現場での工事は、第三者及び既存施設に害を及ぼさないように実施すること」を規定しておくことにより、受注業者の責任で設計と施工を通じた工場地盤の不同沈下対策ができるのです。
仕様発注方式を性能発注方式に切り替えていく上でのモデル事例は、前記の新国立競技場整備事業です。工事規模の大小に関わらず、性能発注方式の基本的な取組み方や考え方は同じですから、新国立競技場整備事業は、理想的な要求水準書を作成した貴重なモデル事例であり、要求水準書に基づく業者見積もりの査定により予定価格を策定する上でのモデル事例となります。
以上を、意見として具申致します。
【 上記意見を総務省と国土交通省にも提出しました。】
◯ 令和4年12月31日、総務省ホームページの「ご意見・ご提案の受付」を通じて、上記と同じ内容の意見を提出しました。
◯ 令和5年1月8日、国土交通省ホームページの「ホットラインステーション」を通じて、上記とほぼ同内容の意見を提出しました。
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令和5年2月20日
デジタル庁HPの「ご意見・ご要望」に提出した意見
【 意見・要望 】
我が国では、システムへのディープラーニング導入を検討する際,どのようにシステムの品質を保証するかが問題となり,導入を断念するケースが発生しています。欧米ではディープラーニングを搭載したシステムやサービスが広まっていますが、前記の問題は全く聞こえてきません。
ディープラーニングを含めたソフトウェア全般について言えることですが、目に見えないソフトウェア部分だけを殊更に取り上げてその品質を証明して保証せよと言われても出来ない相談です。欧米では発注側からベンダーに対してこのように要求されることはまずあり得ません。発注の考え方が、グローバルスタンダードな性能発注方式だからです。我が国だけは、他国に類を見ないガラパゴスな仕様発注方式です。
性能発注方式とは、「このような機能と性能を備えたものを作ってくれ。」といった発注方式です。この場合には、要求された機能と性能の実現方法について、ハードウェアに依るかソフトウェアに依るかは問いません。結果として「このような機能と性能をこのとおりに備えていることを証明できたもの」が、発注者への成果物になるからです。ソフトウェア部分だけの品質証明ができたとしても、それは部分最適化に過ぎません。大事なことは、ハードウェアとソフトウェアを全体最適化した結果として、発注側が求めた「このような機能と性能を備えたもの」を作り上げて、「このような機能と性能を備えていること」を、発注側が確認できるように示すことです。このような対応は、性能発注方式では当たり前の対応です。
ところが、我が国では、このような「当たり前の対応」ができません。仕様発注方式だからです。仕様発注方式とは、「発注側が示した設計図書のとおりに作ってくれ。」といった発注方式です。このため、仕様発注方式では、ハードウェアについては詳細な設計図書を示すことができるのですが、ソフトウェアについては目に見えませんので設計図書を示すことができません。つまり、「このとおりにプログラミングしてくれ。」はあり得ませんので、仕様発注方式はソフトウェアの発注には不適と言えます。すなわち、仕様発注方式一辺倒であることが、我が国では「どのようにソフトウェアの品質を保証するかが問題」となることの根底にあります。ちなみに、「このようなものをプログラミングしてくれ」は自然ですから、性能発注方式はソフトウェアの発注に最適と言えます。
このことから、我が国がAIやDXを活用していく分野で他国に後れをとらないために、システム開発における発注側の取組み姿勢を、仕様発注方式の考え方から性能発注方式の考え方に一刻も早く転換していく必要があります。
以上を、デジタル庁への提言として具申致します。
【 上記意見を首相官邸等にも提出しました。】
◯ 令和5年2月21日、首相官邸、文部科学省、総務省、国土交通省それぞれのホームページの「意見・提案受付コーナー」を通じて、上記と同じ内容の意見を提出しました。
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令和5年2月12日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
性能発注方式の取組み方によるシステム開発委託が、我が国のDXを成功させる鍵です。しかし、我が国では仕様発注方式の取組み方しかできないことが問題です。
【 意見 】
DXに欠かせないシステム開発委託に向けて、グローバルスタンダードである性能発注方式の取組み方(つまり、このようなものを作ってくれといった、トップダウンによる全体最適化を求める取組み方であり、システム開発には最適です。)が、我が国では殆どできません。他国に類を見ない我が国独自のガラパゴスである仕様発注方式の取組み方(つまり、発注者が指示したとおりに作ってくれといった、ボトムアップによる部分最適化を求める取組み方であり、システム開発には全く適しません。)が、官民のあらゆる分野で我が国の無意識レベルの常識と化しているからです。
このことが災いして、我が国では、大企業の基幹系システム開発委託の失敗・頓挫が頻発し、その責任を巡って裁判沙汰となった事例が続出しています。マスコミ報道された代表的な事例は、次のとおりです。
1 三菱食品は、基幹系システム開発失敗の責任はインテックにあるとして、約127億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2018年11月)
2 古河電気工業は、基幹系システム開発失敗の責任はワークスアプリケーションズにあるとして、約50億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2018年11月)
3 文化シヤッターは、基幹系システム開発失敗の責任は日本IBMにあるとして、約27億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2017年11月)
4 野村ホールディングスと野村証券は、基幹系システム開発失敗の責任は日本IBMにあるとして、約36億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2013年11月)
5 NTT東日本は、基幹系システム再構築の発注元であった旭川医科大学に対して、契約解除に伴う約23億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2010年8月)
6 スルガ銀行は、基幹系システム開発失敗の責任は日本IBMにあるとして、約111億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2008年3月)
システム開発委託でこのようなトラブルを惹き起こしていたのでは、企業体質を変革・強化するDXの推進・実現など、叶うはずもありません。性能発注方式の取組み方でシステム開発委託してDXを推進する欧米諸国では、到底考えられない異常事態です。企業体質の優劣は、延いては国力の優劣に繋がります。それゆえ、一刻も早く、性能発注方式の取組み方を我が国の常識とする必要があります。しかし、戦後の我が国では、見習うべき性能発注方式の成功事例が殆ど見当たりません。土木・建築工事や各種製造請負などのあらゆる分野で、戦後の我が国は今日に至るまで仕様発注方式一辺倒だったからです。しかし、我が国でも戦前には、見習うべき理想的な性能発注方式による見事な成功事例があります。零戦です。そこで、性能発注方式で大成功を収めた零戦に学んで、理想的な性能発注方式の具体的かつ効果的な取組み方や考え方を理解し、システム開発委託に活かしていくことが肝要です。
以上を、首相官邸への意見として具申致します。
【 上記意見をデジタル庁にも提出しました。】
◯ 令和5年2月12日、デジタル庁ホームページの「ご意見・ご要望受付コーナー」を通じて、上記と同じ内容の意見を提出しました。
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令和4年12月27日、横浜市HPの
「市民からの提案コーナー」に提出した提案
【 提案内容 】
横浜市が実施する工事は、他国に類を見ない我が国独自の仕様発注方式(詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づいて、緻密な積算により予定価格を策定した上で、施工を発注する方式)で発注しています。「設計・施工の分離の原則」を絶対視しようとする勘違いが、横浜市にも浸透しているからです。その結果、グローバルスタンダードな性能発注方式(実現を求める要求要件を規定した要求水準書に基づいて、見積書の徴収・査定により予定価格を策定した上で、設計と施工を一括発注する方式)の活用が、全く忌避されています。
ところで、新国立競技場整備事業は、仕様発注方式で大失敗し破綻したのですが、性能発注方式(公共工事の品質確保の促進に関する法律第18条に規定された方式)で復活し成功しました。この事例から、性能発注方式には、仕様発注方式に起因する諸問題を解決するパワーがあることが明らかです。
そこで、性能発注方式の活用を忌避させている前記の勘違いが、「紛れもない勘違い」であることを次に記載します。
「設計・施工の分離の原則」は、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」の中で打ち出されたものです。この通達を端緒として、「設計・施工の分離の原則」に基づく仕様発注方式が、法令上の根拠規定を欠いたまま、土木分野のみならず建築分野等も含めて全国に浸透し今日に至っています。
問題は、今日では官民の技術力が逆転していることです。戦前の土木・建築の公共工事は、全てが官庁直営方式でした。このため、昭和30年代は、民間に比べて官庁の技術力が圧倒的に上でした。仕様発注方式は、このような時代に適合して生まれたのです。しかし、昭和から平成に移り変わる頃に官民の技術力は逆転し始め、今日では、最先端の高度な技術力を民間が有しています。
それゆえ、「この工事仕様書のとおりにやってくれ」といった仕様発注方式は、今日ではあたかも、技術力に劣る者が優る者に対して指図するような、おこがましい状況にあります。このことが、近年多発している「施工結果における責任問題」に直結しています。つまり、仕様発注方式では、発注者が示した工事仕様書に従って工事業者が施工した結果として生じた不具合の責任は、工事仕様書を示した発注者が負うことになるのです。これは、設計受託業者作成による設計図書の誤りに起因する施工時の不具合についても同じであり、工事仕様書を示した発注者の責任は免れません。
このことから、法令上の根拠規定に欠ける「設計・施工の分離の原則」を絶対視して、負うべきではない責任を負いかねない仕様発注方式に拘り続けることは、今日では有害無益と言えます。
そこで、仕様発注方式に起因する横浜市の問題事例を次に記載します。
2020年4月3日付の日経クロステック記事「橋が低すぎて観光船くぐれない。60cmジャッキアップ」によれば、横浜市は、みなとみらい21地区の運河に女神橋を建設していますが、2020年に工事業者が工事仕様書に従って橋桁を架設したところ、横浜市の指示に基づく桁下高の設計数値が低すぎたため、観光船が通航不能となりました。そこで、横浜市は、工事仕様書の設計を変更した上で追加工事費を負担して、橋桁の60cmのジャッキアップを工事業者に実施させています。つまり、女神橋竣工までに要した工期と工事費が、横浜市の指示ミス(現場の通航状況を精査せずに図面上から推定した数値を設計受託業者に指示)により増大してしまったのです。
横浜市は、女神橋新設工事を仕様発注方式で実施しました。横浜市が示した工事仕様書に従って工事業者が施工した結果として不具合が生じたのですから、この責任は、前記のとおり横浜市が負うことになったのです。
このような問題の抜本的解決策は、仕様発注方式に代えて性能発注方式を用いることです。性能発注方式では、受注業者が設計と施工を行う上で必要十分となるように要求要件を示した要求水準書を用います。そこで、要求要件の一つとして「女神橋が架かる運河を船舶が通航する際に支障を来さないようにすること」を規定しておけば、受注業者は設計時と施工時に責任を持って対応しなければならなくなるので、受注業者の責任において船舶が支障なく通航できる女神橋が実現できるのです。
仕様発注方式を性能発注方式に切り替えていく上でのモデル事例は、前記の新国立競技場整備事業です。工事規模の大小に関わらず、性能発注方式の基本的な取組み方や考え方は同じですから、新国立競技場整備事業は、理想的な要求水準書を作成した貴重なモデル事例であり、要求水準書に基づく業者見積もりの査定により予定価格を策定する上でのモデル事例となります。
以上を、提案として具申致します。
【 上記提言を総務省にも提出しました。】
◯ 令和5年1月2日、総務省ホームページの「ご意見・ご提案の受付」を通じて、【昭和30年代に適合した仕様発注方式に起因する問題が、横浜市でも顕在化しています。】と題する、上記とほぼ同じ内容の提言を提出しました。
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令和4年12月26日、東京都HPの
「都民の声総合窓口」に提出した「知事への提言」
【 タイトル 】
東京都が発注する工事は、仕様発注方式に拘り続けていますが、官民の技術力が逆転した今日では都の職員が対処しきれずに支障を来たしていますので、性能発注方式に移行すべきです。
【 コメント 】
東京都が実施する工事は、他国に類を見ない我が国独自の仕様発注方式(詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づいて、緻密な積算により予定価格を策定した上で、施工を発注する方式)で発注しています。「設計・施工の分離の原則」を絶対視しなければならないといった勘違いと、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった勘違いが、都にも浸透しているからです。その結果、グローバルスタンダードな性能発注方式(実現を求める要求要件を規定した要求水準書に基づいて、見積書の徴収・査定により予定価格を策定した上で、設計と施工を一括発注する方式)の活用が、全く忌避されています。
ところで、新国立競技場整備事業は、仕様発注方式で大失敗し破綻したのですが、性能発注方式(公共工事の品質確保の促進に関する法律第18条に規定された方式)で復活し成功しました。この事例から、性能発注方式には、仕様発注方式に起因する諸問題を解決するパワーがあることが明らかです。
ところが、前記の二つの勘違いが、性能発注方式の活用を忌避させています。そこで、二つの勘違いがいずれも「紛れもない勘違い」であることを、以下に記載します。
初めに、「設計・施工の分離の原則」を絶対視する勘違いについてですが、この原則は、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」の中で打ち出されたものです。この通達を端緒として、「設計・施工の分離の原則」に基づく仕様発注方式が、法令上の根拠規定を欠いたまま、土木分野のみならず建築分野等も含めて全国に浸透し今日に至っています。
問題は、今日では官民の技術力が逆転していることです。戦前の土木・建築の公共工事は、全てが官庁直営方式でした。このため、昭和30年代は、民間に比べて官庁の技術力が圧倒的に上でした。仕様発注方式は、このような時代に適合して生まれたのです。しかし、昭和から平成に移り変わる頃に官民の技術力は逆転し始め、今日では、最先端の高度な技術力を民間が有するようになっています。
それゆえ、「この設計図面のとおりにやってくれ」といった仕様発注方式は、今日ではあたかも、技術力に劣る者が優る者に対して指図するような、おこがましい状況にあります。近年、仕様発注方式に起因する問題が多発していますが、いずれも「おこがましい状況」が根源です。
このことから、法令上の根拠規定に欠ける「設計・施工の分離の原則」を絶対視して、今日でも仕様発注方式に拘り続けることは、百害あって一利無しと言えます。
次に、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった勘違いについてですが、国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令(予決令)、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予決令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予決令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言はありません。従って、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。
そこで、前記の二つの勘違いに起因する都の問題事例を次に記載します。
2021年9月24日付の日経クロステック記事「東京都が680万円積算ミス 受注者に理不尽な減額要請」によれば、都は、「等々力大橋(仮称)下部工事その2」において、指名競争入札で落札した業者(受注者)と契約を締結して工事が開始された後、都の過大積算ミス(都の職員が「工事で使用する建設機械の損料単価」を誤設定したことによる約680万円の過大積算)が判明したことを受けて、落札価格に基づいた契約金額に対して「過大積算ミスに相当する金額」の減額を要請しています。しかし、受注者には、契約の締結上および履行上、落ち度や問題点は全く無かったのです。それにも関わらず、都が受注者に対して契約金額の減額を求めたことは、契約の締結及び履行における信義誠実の原則に照らして、大きな禍根を残すところです。
都は、このような積算ミスの再発防止策として、工事で使用する建設機械の規格や形状などを詳細に積算システムに入力するよう作業手順を改訂しました。しかし、このような再発防止策のもとで「緻密な積算による予定価格の策定」を続けた場合には、都の職員は、担当する工事の意義・目的を踏まえた費用対効果の最大化に注意を払うのではなく、緻密な積算における枝葉末節的な正確性にばかり注意を払うよう強いられてしまいます。これでは、発注しようとする工事の意義・目的に照らして、まさに本末転倒と言えます。
このことから、都は、性能発注方式の導入を真剣に検討するべきです。なぜならば、性能発注方式では、工事の意義・目的を踏まえて、受注者が設計と施工を行う上で必要十分となるように要求要件を示した要求水準書を作成しなければならないからです。また、性能発注方式における予定価格は、要求水準書に基づき業者から徴収した見積書の査定により策定しなければならないからです。
仕様発注方式を性能発注方式に切り替えていく上でのモデル事例は、前記の新国立競技場整備事業です。工事規模の大小に関わらず、性能発注方式の基本的な取組み方や考え方は同じですから、新国立競技場整備事業は、理想的な要求水準書を作成した貴重なモデル事例であり、要求水準書に基づく業者見積もりの査定により予定価格を策定する上でのモデル事例となります。
以上を「知事への提言」として具申致します。
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令和4年12月23日、文部科学省HPの
「御意見・お問合せコーナー」に提出した意見
【 件名 】
X線天文衛星「ひとみ」の分解事故の教訓は、事前審査を仕様発注方式から性能発注方式に改めることです。
【 内容 】
米国航空宇宙局や欧州宇宙機関等との国際協力ミッションであったX線天文衛星「ひとみ」は、2016年2月の打上げ成功の約40日後に、ソフトウェアのバグとデータの誤入力が直接の原因となり、衛星軌道上で異常回転を生じてバラバラに分解してしまいました。その代替となるX線分光撮像衛星は、当初は2021年度に打上げ予定であったところ、衛星搭載機器に生じた原因不明事象により、未だに打上げられていません。
「ひとみ」の所管はJAXAの宇宙科学研究所ですが、その前身である東大宇宙航空研究所以来の伝統を引き継ぎ、衛星の製造は仕様発注方式(この設計どおりに作ってくれといった、我が国独自の発注方式)のままです。具体的には、発注に先立ち開催する設計審査会において、メカニカルな設計の細部にわたって事前審査を行い、設計審査会をパスした設計図面に基づき製造発注するものです。東大宇宙航空研究所の時代は、衛星の機能と性能がメカニカルな設計の良し悪しに大きく左右されていたため、設計審査会での設計細部にわたる審査は大きな意味を持っていました。しかし、今日では、ソフトウェアが衛星の安全性や信頼性などの機能と性能を大きく左右するようになっています。しかし、目には見えないソフトウェアについての事前審査を、従前どおりの設計審査会で行うことは極めて困難であり、ソフトウェアのバグを予見することも不可能です。このことが、「ひとみ」の分解事故に直結しています。つまり、「ひとみ」は、設計審査会の事前審査で衛星本体の安全性や信頼性が殆ど確認できないままに製造発注され、打ち上げられてしまったのです。
今日では、ソフトウェアが機能と性能を左右するようになっていますから、この設計どおりに作ってくれといった仕様発注方式では適する筈もなく、このような機能と性能を備えたものを作ってくれといった、グローバルスタンダードな性能発注方式でなければ対処できなくなっています。それゆえ、設計審査会を要求要件審査会に変更して、衛星の設計と製造を請負う企業に実現してもらいたい機能と性能についての要求要件(衛星の安全性や信頼性を確保すること、X線天体観測の精度と時間を確保すること、など)について、要求水準書に具体的かつ必要十分に規定されているか否かを事前審査する仕組みとすることが肝要です。
以上を、意見として具申致します。
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令和4年12月20日、札幌市HPの
「インターネット市政提案コーナー」に提出した意見
【 件名 】
東京五輪の所要経費膨張や入札談合疑惑に関して首相官邸に提出した意見
【 意見 】
【令和4年11月27日首相官邸に提出した意見】
【テーマ】我が国独自の仕様発注方式の考え方に立脚したプロジェクト運営には弊害が多く、先日発覚した五輪談合疑惑もその一端
【意見】仕様発注方式とは、詳細仕様を確定させた仕様書に基づいて工事の施工や機器等の製造請負を発注するといった、つまり、「この設計のとおりに作ってくれ」といった我が国独自の発注方式です。ちなみに、機能・性能の要求要件を示す要求水準書に基づいて設計・製造・施工を一括して発注するといった、つまり、「このようなものを設計も含めて作ってくれ」といった性能発注方式がグローバルスタンダードです。
仕様発注方式は、法令上の根拠規定が無いままに、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」を端緒として、土木分野のみならず建築分野や各種製造請負分野も含めて全国に浸透し今日に至っています。このため、日本人は、半世紀以上にわたって、性能発注方式の取組み方や考え方に触れないままに、仕様発注方式の取組み方や考え方のみが連綿と引き継がれる中で生きてきました。
いわば、仕様発注方式は、日本人のDNAにしっかりと組み込まれているような存在です。それゆえ、我が国では、大規模なプロジェクトの運営面にも、仕様発注方式の取組み方や考え方のみが常識として色濃く反映されてしまっています。
我が国では、東京五輪などの巨大プロジェクトに要するトータルコストが、プロジェクトの進展につれて膨らむ一方となりがちです。これは、プロジェクト運営の中核を占める必要経費についての考え方が、仕様発注方式の考え方にどうしても立脚してしまうためです。
一般的に、プロジェクトを立ち上げる時点では、プロジェクトで取組む内容と必要経費を大雑把に見積もりますが、プロジェクトの進展につれて、プロジェクトの内容を詳細に詰めて充実していくなどの内容変更が避けられません。しかし、仕様発注方式の考え方(仕様発注方式では、設計内容を変更する都度、それに応じて契約金額を変更するのが通例)に立脚してプロジェクトを運営する限り、プロジェクトの進展に伴う内容変更はトータルコストの膨張に繋がってしまうのです。このことは、仕様発注方式の考え方に立脚したプロジェクト運営の大きな弊害です。
そこで、欧米諸国のように性能発注方式の考え方に立脚してプロジェクトを運営すれば、このような弊害を払拭できます。我が国におけるモデル事例は、令和元年に完成した新国立競技場整備事業です。具体的には、最初にプロジェクトのコンセプトを明確にして、その大枠(実施内容・実施期間・実施に要する経費)を設定しています。次に、価格と技術の両面での競争原理を働かせるために、受注者に委ねるべき設計には立ち入らない要求水準書を作成して、複数候補の中から受注者を選定しています。その結果、受注者の創意工夫や最先端技術を存分に活かして、費用対効果に優れた結果を得ることができています。
このことから、どのようなプロジェクトであっても、性能発注方式の考え方に立脚して運営すれば、トータルコストが膨張し続ける事態を回避して、予算の範囲内で最善の結果を得ることができると言えます。
ところで、東京五輪では、競技場運営委託先選定に係る談合疑惑が先日発覚しています。マスコミの報道によれば、各競技場でのテスト大会の計画立案業務について、大会組織委員会が計26件の総合評価方式一般競争入札を実施したところ、大半の入札が一者応札で終わり、事前に予定されていた業者が受注したとの疑いです。
ここで、総合評価方式についてですが、平成5年から6年にかけて開催された日米包括経済協議で、米国からその採用を強く求められた方式です。米国の官公庁発注では、プロポーザルとネゴシエーションによる性能発注方式が基本であるため、総合評価方式は受注者選定に不可欠です。
ところが、我が国では仕様発注方式が基本であるため、総合評価方式との親和性に欠けており、総合評価のための詳細設計を応札者に求めて一者応札の事態を頻発させるなど、競争原理が逆に阻害されています。このことは、前記のテスト大会計画立案業務において、仕様発注方式(性能発注方式は理解されていません)による総合評価方式一般競争入札を実施したところ、大半の入札が一者応札に終わった結果と符合します。
それゆえ、これから先、このような疑惑が生じる余地を払拭するには、前記の性能発注方式、つまり、最初に事業のコンセプトを明確にして実施内容等の大枠を設定し、次に、価格と技術の両面での競争原理を働かせるために受注者に委ねるべき設計には立ち入らない要求水準書を作成して、複数候補の中から受注者を選定するといった方式の採用が、何よりも望まれるところです。
以上を、意見として具申致します。
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令和4年12月17日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
全国津々浦々に浸透している仕様発注方式は、国土交通省の勘違いが性能発注方式の活用を妨げているため、公共工事に向けた詳細設計を自治体が外部委託する際に解決困難な問題を生じています。
【 意見・感想 】
ところで、この下水道工事を含めて我が国の公共工事において普遍的な仕様発注方式(「この詳細仕様のとおりに作ってくれ」といった、設計と施工の分離発注方式)では、竣工結果の良し悪しは、別途に実施して確定させた詳細設計に基づく工事仕様書次第となります。従って、上記の不具合は、市職員の算定ミスに起因した不適切な工事仕様書が原因です。国土交通省では、土木・建築分野等の技術系職員が多数在籍していますから、設計を外部委託する手順や委託成果物の納品検査を確実に実施できますが、問題は全国に千数百もある自治体です。中小規模の自治体では、土木・建築分野等の技術系職員が1人もいないところが大半です。このような自治体では、設計を外部委託する手順や委託成果物の納品検査を事務系職員が行うことになりますが、国土交通省のようにはいかず、書類上の決裁・承認手続きに終始せざるを得なくなるところです。ここに、次のような大きな問題が潜んでいます。
自治体では、性能発注方式(「このような要件を満たしたものを作ってくれ」といった、設計と施工の一括発注方式)の取組み方が全く理解されていませんので、どのような設計を外部委託したら良いのかを考えること自体が上手くできないのです。つまり、設計の外部委託では、「このとおりに設計してくれ」といった仕様発注方式の取組み方が機能する筈もなく、「このようなものを設計してくれ」といった性能発注方式の取組み方しかないところですが、自治体ではこれができないのです。このため、実際のところは、主に実績を頼りに選定した設計受託業者に導いてもらう形で、自治体側からの情報を要請に応じて提供しつつ基本設計を行い、次に実施設計を行って、その結果が委託成果物として納品されているのです。そして、この委託成果物を工事仕様書とした施工が発注されるのです。しかし、このようなプロセスでは、自治体の担当職員の直属上司やトップの首長から見ても、どのような工事内容でどのような成果が出るのか、工事が完了するまでよくわからないままとなってしまいます。委託成果物は詳細設計結果ですから、納品検査担当職員でさえ、詳細設計の良し悪しの判断が極めて難しいためです。この問題は、土木・建築分野等の技術系職員が多数在籍する東京都でも次のように露呈しています。
2016年に地下空洞の建設が問題視された豊洲新市場棟建設工事(ガチガチの仕様発注方式)では、数百ページに及ぶ工事仕様書(案)を最終的に承認決裁した東京都中央卸売市場長は、決裁時に設計内容の妥当性の確認など全くできないままに、承認決裁しなければ仕事が進まないので已む無く決裁していたのではないかと推察されます。ところが、新市場棟に地下空洞(公開済みの当初計画では、地下空洞の建設予定は皆無)がいつの間にか設計・施工されていたことが後になって問題視され、承認決裁した中央卸売市場長はその責任を追及されています。
そこで、仕様発注方式に起因するこのような問題の抜本的な解決には、「このようなものを作ってくれ」といった性能発注方式による取組み方がその本領を発揮するところです。しかし、我が国では過去半世紀以上にわたって、「確定した詳細設計に基づく緻密な積算による予定価格でなければ法令上の規定に反する」といった国土交通省による勘違い(会計法、予算決算及び会計令、地方自治法、地方自治法施行令のどこにもそのような規定は皆無)が全国に浸透しており、仕様発注方式の取組み方のみが正統派として連綿と受け継がれてきたため、性能発注方式の活用が全く阻害されてしまっているのです。
それゆえ、我が国における喫緊の課題は、性能発注方式の取組み方(具体的には、設計段階での発注に先立ち、発注者は、「どのようなものを作るべきか」といったコンセプトを明確にした上で、設計上必要十分となる要求要件を示していくといった取組み方)を自治体が理解し実践していけるようにするため、国土交通省による前記の勘違いを払拭することであると言えます。
以上を、意見として具申致します。
【 上記意見の関係先にも提出しました。】
令和4年12月21日、常陸太田市ホームページの「ご意見・ご質問コーナー」と、東京都ホームページの「都民の声総合窓口」を通じて、上記意見をその関係先として提出しました。
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令和4年12月7日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
公共工事の発注に先立ち策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった国土交通省の勘違いが全国の自治体に浸透しており、老朽インフラ補修工事を的確に進めることが困難になっています。
【 意見 】
2022年12月7日のNHK「おはよう日本」での報道と同日付のNHK NEWS WEB記事「老朽インフラ増加 補修されていない橋やトンネル7000か所余」によれば、老朽インフラの安全点検で早急な補修が必要と判断された後、自治体の財政難や人材不足により、5年を超えても補修されていない橋やトンネルが7000箇所余りに上ることがNHKの分析で判明しています。また、建設後50年超の老朽橋の割合が現在の34%から10年後には59%まで急増することや、国土交通省道路局国道・技術課が「老朽インフラの安全対策は特に小規模の自治体で予算や人員が厳しく、十分に進んでいないと認識している。」ことも報道されています。
しかし、自治体の人材不足解消の見込みは無いため、自治体の補修工事発注業務を効率化しない限り、補修されない老朽インフラが増加の一途を辿ります。それゆえ、自治体の老朽インフラ対策で最も重要なことは、補修工事発注業務の効率化です。ところで、老朽インフラ補修工事は、全国の自治体で仕様発注方式により実施されています。事前に策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった国土交通省の勘違いが全国の自治体に浸透していることが原因です。仕様発注方式とは、詳細仕様を確定させた工事仕様書を準備して積算で予定価格を策定した上で施工を発注する我が国独自の方式であり、自治体職員には多大な業務負担がかかっています。そこで、前記の勘違いを払拭してグローバルスタンダードな性能発注方式に切り替えれば、自治体職員の業務負担を数分の1に激減できます。性能発注方式は、発注要件のみを示す要求水準書を準備して見積書の徴収査定で予定価格を策定した上で設計と施工を一括発注する方式だからです。業務負担の激減効果について、地方公営企業が実施している水道管更新工事を例として以下に記載致します。
全国の地方公営企業の水道管更新工事は、全て仕様発注方式で実施しています。ここでも、前記の国土交通省の勘違い(国の契約に関する法令は、会計法と予算決算及び会計令(予決令)の2つです。予定価格について、会計法では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみであり、予決令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、会計法と予決令のどこにも積算という文言はありません。従って、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。)が、地方公営企業にも浸透しているからです。しかし、地方自治法と地方自治法施行令では、予定価格は「その制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみであり、積算はその言葉すら見出せません。また、地方公営企業法には予定価格の言葉すらありません。従って、地方公営企業は、自治体もそうですが、性能発注方式を用いても全く問題は無いのです。
大阪市水道局では、仕様発注方式に起因する水道管更新工事の不適切事案が2019年に発覚しています。2012年から2017年に大阪市水道局が発注した約1100件の水道管更新工事について、件数で9割強の工事(500社近い業者が関与)で、工事仕様書の指定とは異なる安価な埋戻材料が使用されていました。仕様発注方式での工事完遂に欠かせない「発注者側による監督」が、殆ど機能していませんでした。その結果、道路の耐久性を今更調べることも困難な状況を招いてしまいました。このような問題の抜本的な解決策は、水道管更新工事を性能発注方式に切り替えることです。性能発注方式では、工事仕様書指定材料を受注業者が勝手にオーバースペックと判断するような事態は考えられません。また、仕様発注方式では、工事場所ごとに詳細な施工図面を作成して緻密な積算で予定価格を策定するため、発注には多大な労力が必要(大阪市水道局では年間約70kmの水道管更新工事の発注業務に190人もの職員が専従)ですが、性能発注方式では、監督の徹底を含めて数分の1の職員で対応可能となります。なぜならば、性能発注方式では、同種工事を反復実施する場合には、発注要件を示す要求水準書について、文言の一部修正と現場見取図等の差替で迅速的確に作成できるからです。
以上のことから、自治体の老朽インフラ補修工事の的確な推進に向けて、国土交通省に起因する勘違いを是正した上で、仕様発注方式から性能発注方式に変更することの意義・効果・効能について、意見として提出する次第です。
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令和4年11月30日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
公共工事の発注に先立ち策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった国土交通省の勘違いが全国の自治体に波及し悪影響を及ぼしています。
【 意見・感想 】
公共工事の発注に先立ち策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった国土交通省の勘違いが全国の自治体に波及し悪影響を及ぼしています。このような勘違いの是正をお願い致したく、2022年11月21日に、国土交通省ホットラインステーションに下記添付1の意見を提出致しましたところ、同月30日に、国土交通省総合政策局から下記添付2の回答を頂きました。しかし、どのように見ても、提出した意見でお願いしたかった「勘違いの是正」に対する回答にはなっていませんので、他の府省が所管しているからそちらに意見してくれとばかりに肩透かしされてしまった想いです。それゆえ、国土交通省に提出した意見とその回答につきまして、首相官邸の「ご意見募集」に宛てて、意見・感想としてここに提出する次第です。
添付1【2022.11.21 国土交通省ホットラインステーション(総合政策関係)に提出した意見】
公共工事の発注に先立ち策定する予定価格について、国土交通省は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった勘違いをしています。このような勘違いは全国の自治体にも浸透しているため、民営化を主眼とする公共事業や包括的民間委託による公共事業(いずれも、確定した詳細仕様、つまり、工事仕様書に基づき施工を発注する設計・施工分離発注方式では実施不可能であり、要求要件を規定した要求水準書に基づく設計・施工一括発注方式が必要不可欠)において、積算による予定価格の策定ができるように詳細仕様を規定した「とんでもない要求水準書(特定の業者しか対応できなくなります)」の作成に繋がり、1者応札の事態を招くなどの弊害が全国で生じています。
ところで、国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予算決算及び会計令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予算決算及び会計令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言はありません。このことから、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。
従って、民営化を主眼とする公共事業や包括的民間委託による公共事業において、価格と技術の両面で競争原理を働かせて受託業者を選定するには、このような勘違いを是正(予定価格は、積算に基づく必要は無く、適切な要求水準書に基づく見積書の適切な徴収査定で策定できること)した上で、「適切な要求水準書」(受託業者に実現を求める要求要件について、受託業者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受託業者が設計施工する上で必要十分に記載した要求水準書)の作成と、このような要求水準書に基づく見積書(要求水準書の要求要件全てが計上されていること)の徴収査定による予定価格の策定が必要不可欠です。このため、このような勘違いを是正して頂きたく、お願いする次第です。
添付2【2022.11.30 国土交通省ホットラインステーション(総合政策局)からの回答】
国土交通ホットラインステーションをご利用いただき、ありがとうございます。
お問い合わせいただいた件(2211210100042)につきまして、総合政策局からの回答をお送りいたします。
【回答】
ご指摘の「民営化を主眼とする公共事業や包括的民間委託による公共事業」については、いわゆるPFI(Private Finance Initiative)手法を用いた事業などが想定されますが、民間事業者の創意工夫の発揮のためには、いわゆる性能発注の考え方を採ることが重要であると認識しております。
このため、例えば、PFI事業実施プロセスに関するガイドライン(内閣府・令和3年6月18日改正)においても、「具体的な仕様の特定については必要最小限にとどめるという、いわゆる性能発注の考え方を採ることが必要」といった記載があるところです。
なお、これらについての個別事業への適用については、個別事業の発注者において、事業毎に適切に判断されるものと承知しております。
回答は以上となります。
なお、会計法、予算決算および会計令、予定価格については財務省、地方自治法、地方自治法施行令については総務省の所管となります。
大変恐れ入りますが同省へお寄せいただきますようお願い申し上げます。
今後とも、国土交通行政にご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
国土交通ホットラインステーション
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令和4年11月27日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
我が国独自の仕様発注方式の考え方に立脚したプロジェクト運営には弊害が多く、先日発覚した五輪談合疑惑もその一端
【 意見 】
仕様発注方式とは、詳細仕様を確定させた仕様書に基づいて工事の施工や機器等の製造請負を発注するといった、つまり、「この設計のとおりに作ってくれ」といった我が国独自の発注方式です。ちなみに、機能・性能の要求要件を示す要求水準書に基づいて設計・製造・施工を一括して発注するといった、つまり、「このようなものを設計も含めて作ってくれ」といった性能発注方式がグローバルスタンダードです。仕様発注方式は、法令上の根拠規定が無いままに、昭和34年発出の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」を端緒として、土木分野のみならず建築分野や各種製造請負分野も含めて全国に浸透し今日に至っています。このため、日本人は、半世紀以上にわたって、性能発注方式の取組み方や考え方に触れないままに、仕様発注方式の取組み方や考え方のみが連綿と引き継がれる中で生きてきました。いわば、仕様発注方式は、日本人のDNAにしっかりと組み込まれているような存在です。それゆえ、我が国では、大規模なプロジェクトの運営面にも、仕様発注方式の取組み方や考え方のみが常識として色濃く反映されてしまっています。
我が国では、東京五輪などの巨大プロジェクトに要するトータルコストが、プロジェクトの進展につれて膨らむ一方となりがちです。これは、プロジェクト運営の中核を占める必要経費についての考え方が、仕様発注方式の考え方にどうしても立脚してしまうためです。一般的に、プロジェクトを立ち上げる時点では、プロジェクトで取組む内容と必要経費を大雑把に見積もりますが、プロジェクトの進展につれて、プロジェクトの内容を詳細に詰めて充実していくなどの内容変更が避けられません。しかし、仕様発注方式の考え方(仕様発注方式では、設計内容を変更する都度、それに応じて契約金額を変更するのが通例)に立脚してプロジェクトを運営する限り、プロジェクトの進展に伴う内容変更はトータルコストの膨張に繋がってしまうのです。このことは、仕様発注方式の考え方に立脚したプロジェクト運営の大きな弊害です。
そこで、欧米諸国のように性能発注方式の考え方に立脚してプロジェクトを運営すれば、このような弊害を払拭できます。我が国におけるモデル事例は、令和元年に完成した新国立競技場整備事業です。具体的には、最初にプロジェクトのコンセプトを明確にして、その大枠(実施内容・実施期間・実施に要する経費)を設定しています。次に、価格と技術の両面での競争原理を働かせるために、受注者に委ねるべき設計には立ち入らない要求水準書を作成して、複数候補の中から受注者を選定しています。その結果、受注者の創意工夫や最先端技術を存分に活かして、費用対効果に優れた結果を得ることができています。このことから、どのようなプロジェクトであっても、性能発注方式の考え方に立脚して運営すれば、トータルコストが膨張し続ける事態を回避して、予算の範囲内で最善の結果を得ることができると言えます。
ところで、東京五輪では、競技場運営委託先選定に係る談合疑惑が先日発覚しています。マスコミの報道によれば、各競技場でのテスト大会の計画立案業務について、大会組織委員会が計26件の総合評価方式一般競争入札を実施したところ、大半の入札が一者応札で終わり、事前に予定されていた業者が受注したとの疑いです。ここで、総合評価方式についてですが、平成5年から6年にかけて開催された日米包括経済協議で、米国からその採用を強く求められた方式です。米国の官公庁発注では、プロポーザルとネゴシエーションによる性能発注方式が基本であるため、総合評価方式は受注者選定に不可欠です。ところが、我が国では仕様発注方式が基本であるため、総合評価方式との親和性に欠けており、総合評価のための詳細設計を応札者に求めて一者応札の事態を頻発させるなど、競争原理が逆に阻害されています。このことは、前記のテスト大会計画立案業務において、仕様発注方式(性能発注方式は理解されていません)による総合評価方式一般競争入札を実施したところ、大半の入札が一者応札に終わった結果と符合します。それゆえ、これから先、このような疑惑が生じる余地を払拭するには、前記の性能発注方式、つまり、最初に事業のコンセプトを明確にして実施内容等の大枠を設定し、次に、価格と技術の両面での競争原理を働かせるために受注者に委ねるべき設計には立ち入らない要求水準書を作成して、複数候補の中から受注者を選定するといった方式の採用が、何よりも望まれるところです。
以上を、意見として具申致します。
【 上記意見の関係先にも提出しました。】
令和4年12月21日、東京都ホームページの「都民の声総合窓口」を通じて、上記意見をその関係先として提出しました。
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令和4年11月23日
首相官邸HPの「ご意見募集」に提出した意見
【 テーマ 】
公共建築物の木造化を促進するには、我が国独自の仕様発注方式に替えて、グローバルスタンダードである性能発注方式を上手に用いる必要
【 意見 】
脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(令和3年の改正前は、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律)に基づき、公共建築物の木造化を促進するには、施工業者が有する最先端技術や施工上の創意工夫を存分に活かしていくことが不可欠です。これには、公共建築物の発注時に、グローバルスタンダードである性能発注方式(要求要件を示す要求水準書に基づき、設計と施工を一括して発注する方式)を用いる必要があります。
しかし、我が国では、仕様発注方式(昭和34年1月に発出された建設事務次官通達を根拠とする、設計と施工を分離して発注する方式)が、公共建築物の発注時に専ら用いられています。仕様発注方式では、設計を別途実施して詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づき施工を発注します。このため、設計段階で詳細仕様を確定できる「熟して枯れた技術」による施工しかできません。つまり、仕様発注方式では、施工業者が有する最先端技術や施工上の創意工夫を活かしていくことが難しいのです。
ところで、PFI法に基づき民営化を主眼とする公共事業(設計と施工と運営を一括して受託業者を選定)や、包括的民間委託による公共事業では、仕様発注方式を用いることができません。そこで、公共工事の品質確保の促進に関する法律が平成26年に改正され、その第18条に「技術提案の審査及び価格等の交渉による方式(性能発注方式の一類型)」が規定されました。この第18条の規定は、法改正の翌年に新国立競技場整備事業に活かされたのです。平成24年の国際デザインコンクールを基点とした当初の新国立競技場整備計画は、仕様発注方式による整備に向けて2年半もの設計委託期間と60億円余りの設計委託費を費やした挙句に、工事費試算額の高騰により平成27年7月に計画全体が白紙撤回されたのですが、その翌月には、前記第18条の規定に基づく手続きにより新国立競技場整備事業が蘇り、予定した工期と工事費の範囲内で、令和元年11月に木材を多用した新国立競技場は完成しました。性能発注方式を上手に用いて、相反関係にある「木材の活用を含めたスペック」と「工事費」と「工期」の全体最適化に成功した賜物と言えます。
ところが、昨今の公共建築物では、新国立競技場整備事業の他には、性能発注方式の上手な活用事例が殆ど見当たりません。原因は、公共事業の発注に先立ち策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反するといった、仕様発注方式に由来する勘違いが国や全国の自治体に蔓延しているためです。国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令(予決令)、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予決令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予決令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言はありません。従って、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。
自治体では、「設計・施工一括発注方式実施要綱・要領」の制定・告示などにより、公共事業で性能発注方式を用いていく制度整備が進められています。しかし、「要求要件を示す要求水準書」では、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算による予定価格の策定ができないため、殆どの自治体で、予定価格策定の困難さを理由として性能発注方式を忌避してしまっています。つまり、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった勘違いが、新国立競技場整備事業を成功に導いた性能発注方式の活用を阻害してしまっているのです。
この問題の解決策は明白です。つまり、新国立競技場整備事業をモデルとして、価格と技術の両面での競争原理が働く要求水準書(受注者に実現を求める要求要件について、受注者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受注者が設計・施工する上で必要十分に記載した要求水準書)を作成して、選定理由明記の書面決裁で選定した複数の業者に、制定済みの要求水準書に基づく見積もりを文書で依頼して、徴収した見積書の査定により予定価格を策定するのです。このような策定方法であれば、「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ことと完全に合致します。
以上を、意見として具申致します。
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令和4年11月26日、デジタル庁HPの
「ご意見・ご要望」に提出した意見
【 意見・要望 】
我が国の官公庁では、ソフトウェア開発を委託する場合に、詳細仕様を確定させた仕様書に基づいて発注するといった仕様発注方式(このとおりに作ってくれといった発注方式)の取組み方が主流ですが、欧米諸国では到底考えられない取組み方です。欧米諸国では、実現を求める「機能と性能の要求要件」を示した要求水準書に基づいて発注する性能発注方式(このような機能と性能を備えたものを作ってくれといった発注方式)の取組み方が一般的です。仕様発注方式は、昭和34年の建設事務次官通達を根拠とする我が国独自の発注方式ですが、性能発注方式は、グローバルスタンダードな発注方式だからです。
我が国だけが仕様発注方式の取組み方でソフトウェア開発を行う理由ですが、一つは、昭和34年以来の仕様発注方式が、あたかも日本人のDNAに組み込まれているかのごとくに、日本人の無意識レベルの常識と化してしまっていることの反映と言えます。もう一つは、予定価格の策定方法についての勘違いがあります。
国や自治体では、ソフトウェア開発の発注に先立ち、予定価格を策定しなければなりません。しかし、この場合の策定方法について、国や自治体では、公共工事の仕様発注時における予定価格の策定方法の他には思い至らないため、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ、法令の規定に反する」といった、公共工事の仕様発注時における勘違いが、ソフトウェア開発の発注時にも見受けられます。その証左は、少し古い話になりますが、2011年5月19日に開催された第9回政府情報システム改革検討会に提出された「調達に関する課題〜『IT 発注力』の向上について -見積力を中心として-(総務省行政管理局)」の資料です。この中で、性能発注方式については、その概念や効果的な実践方法を含めて全く記載されていません。それどころか、業者積算による見積もりを詳細にチェックできる発注者側の積算能力の向上が欠かせない、といったロジックがメインです。これでは、発注者側の積算能力が専ら問われる仕様発注方式に完全に回帰してしまいます。
そこで、前記の勘違いの話に戻りますが、国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令(予決令)、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予決令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予決令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言はありません。それゆえ、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ、法令の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。
ところで、デジタル庁は、自治体システムの「標準仕様書」を示すことにより、2025年を目処としたシステムの標準化を各自治体に促しています。しかし、この施策は、我が国で多くの民間企業の基幹系システム更新プロジェクトの失敗・頓挫を招き、その責任を巡って裁判沙汰を頻発させてきた元凶であるところの、仕様発注方式に近似した取組み方に他なりません。つまり、①三菱食品は、基幹系システム開発失敗の責任はインテックにあるとして約127億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2018年11月)、②古河電気工業は、基幹系システム開発失敗の責任はワークスアプリケーションズにあるとして約50億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2018年11月)、③文化シヤッターは、基幹系システム開発失敗の責任は日本IBMにあるとして約27億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2017年11月)、④野村ホールディングスと野村証券は、基幹系システム開発失敗の責任は日本IBMにあるとして約36億円の損害賠償を求める訴訟を提起(2013年11月)などの事案では、いずれも「汎用的なパッケージソフトウェア」の利用を基本として、発注者側の要望を踏まえて新たな機能を追加していくとしていたことや、これを受けて、発注者側の業務部門からの新システムへの機能追加要望・機能改善要望(これまでのやり方をできる限り踏襲したいといった業務部門の思惑からの要望が大半です。)が五月雨式にとめどもなく出されたことにより、受注者は長期にわたって新システムの詳細仕様を固めることができなかったことなどが共通しています。これでは、仕様発注方式に近似した取組み(つまり、「発注者が示す設計図書のとおりに作ってくれ」に考え方が近似した「発注者側が要望として言ったとおりに作ってくれ」といった取組み)であるため、大規模なソフトウェア開発を伴うシステム開発に失敗した場合の責任の所在が全く不明確になってしまいます。だから、裁判沙汰となってしまったのです。
それゆえ、自治体システム標準化を促進するには、性能発注方式の取組み方が肝要です。そして、性能発注方式を効果的に実践していくには、次の三つのステップが重要となります。
1 現状の課題・課題解決方策の概要・課題解決により期待される効果を記した開発計画書を作成して、組織トップまでの意志統一を図ること。
2 受注者に実現を求める「機能と性能の要求要件」について、必要十分に記した要求水準書を作成すること。
3 予定価格は、選定理由明記の書面決裁で選定した複数の業者に、制定済みの要求水準書に基づく見積もりを文書で依頼して、徴収した見積書の査定により予定価格を策定すること。ちなみに、このような策定方法であれば、前記の「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ことと完全に合致します。
以上を、意見・要望として具申致します。
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令和4年12月11日、国土交通省の
ホットラインステーションに提出した苦情
【 苦情 】
全国の自治体では、公共工事発注時に問題続出の仕様発注方式(設計・施工分離発注方式)に加えて、性能発注方式を導入するために「◯◯市設計・施工一括発注方式(性能発注方式)実施要綱・要領」を整備する動きが20年以上前から継続しているところです。しかし、実施要綱・要領の中で、性能発注方式の対象として想定した工事が高度過ぎる(これでは、性能発注方式がその真価を発揮しやすい道路補修工事や水道管更新工事などの日常的な工事が全て対象外になってしまう)ことが直接の原因となり、どの自治体でも性能発注方式の導入は殆ど不発のままです。最大の問題は、工事発注に先立ち策定しなければならない予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する(会計検査が通らない)、といった国土交通省による勘違いが全国の自治体に浸透していることです。このことの当然の帰結ですが、どの自治体でも、性能発注方式で用いる要求水準書では詳細な施工図面に基づく緻密な積算に依る予定価格の策定ができないことを理由として、性能発注方式を忌避してしまっているのです。
それゆえ、仕様発注方式に起因する諸問題全てを解決できる性能発注方式を普及させる上で、国土交通省による勘違いを払拭することが先決であり、払拭後には「性能発注方式での予定価格」の適切な策定方法を示す必要があります。そこで、管区警察局県情報通信部(茨城2001年、福岡2005年、神奈川2008年と2011年)への会計検査院会計検査において、いずれも「適正に経理されている。」旨の講評を頂いた策定方法を以下に紹介します。
工事に用いる要求水準書では、価格と技術の両面での競争原理を働かせるため、受注者に実現を求める要求要件について、受注者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受注者が設計・施工する上で必要十分に記載することが肝要です。そして、予定価格は、選定理由明記の書面決裁で選定した複数の業者に、制定済みの要求水準書に基づく見積もりを文書で依頼して、徴収した見積書の査定により予定価格を策定します。この際、金額の査定に先立ち、見積書の見積日付、有効期限、宛先、件名、見積責任者の住所・氏名・捺印を確認した上で、要求水準書記載の要求要件について、見積書に計上漏れが無いかを確認することが肝要です。
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令和4年11月25日、国土交通省の
ホットラインステーションに提出した意見
【 意見 】
国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令(予決令)、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予決令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予決令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言はありません。それにも関わらず、国土交通省は、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった勘違いをしています。その結果、国土交通省は、緻密な積算による予定価格の策定ができないとして性能発注方式(グローバルスタンダードな方式)を忌避し、確定した詳細仕様に基づく工事仕様書で施工を発注する仕様発注方式(昭和34年の建設事務次官通達を根拠とする我が国独自の方式)に固執しています。問題は、国土交通省の「勘違いに基づく固執」が全国に浸透しているため、仕様発注方式に起因するトラブルが頻発していることです。2020年10月に発生した「外環道大深度地下トンネル工事による調布市内陥没事故」も、仕様発注方式に起因しています。この事故は、現場状況を直視できない難工事での安全確保に欠かせない「情報化施工(センサーで取得し解析したデータを即座に工事に反映させる最先端の工法)」の欠落が原因です。直径16mの超大型シールドマシンが地下47mを情報化施工抜きで掘進した後には、地盤の緩みや複数の空洞(いずれも陥没事故発生後の調査で判明)が、掘進中は全く気付かないまま残されてしまったのです。仕様発注方式では、設計を別途実施して詳細仕様を確定させた工事仕様書に基づき施工を発注します。このため、設計段階で詳細仕様を確定できる「熟して枯れた技術」による施工しかできません。つまり、仕様発注方式では、現場状況の変化に即応できる「最先端の情報化施工」が、詳細仕様を確定できないため使えないのです。それゆえ、現場に即した「情報化施工」を要する難工事では、性能発注方式を用いて、要求水準書に示す性能要件の一つとして「現場に即した安全性の確保」を規定するしかないところです。
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令和4年11月21日、国土交通省の
ホットラインステーションに提出した意見
【 意見 】
公共工事の発注に先立ち策定する予定価格について、国土交通省は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった勘違いをしています。このような勘違いは全国の自治体にも浸透しているため、民営化を主眼とする公共事業や包括的民間委託による公共事業(いずれも、確定した詳細仕様、つまり、工事仕様書に基づき施工を発注する設計・施工分離発注方式では実施不可能であり、要求要件を規定した要求水準書に基づく設計・施工一括発注方式が必要不可欠)において、積算による予定価格の策定ができるように詳細仕様を規定した「とんでもない要求水準書(特定の業者しか対応できなくなります)」の作成に繋がり、1者応札の事態を招くなどの弊害が全国で生じています。
ところで、国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予算決算及び会計令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予算決算及び会計令では、第七十九条と第八十条で(予定価格の作成と決定方法)が規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言はありません。このことから、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。
従って、民営化を主眼とする公共事業や包括的民間委託による公共事業において、価格と技術の両面で競争原理を働かせて受託業者を選定するには、このような勘違いを是正(予定価格は、積算に基づく必要は無く、適切な要求水準書に基づく見積書の適切な徴収査定で策定できること)した上で、「適切な要求水準書」(受託業者に実現を求める要求要件について、受託業者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受託業者が設計施工する上で必要十分に記載した要求水準書)の作成と、このような要求水準書に基づく見積書(要求水準書の要求要件全てが計上されていること)の徴収査定による予定価格の策定が必要不可欠です。このため、このような勘違いを是正して頂きたく、お願いする次第です。
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令和4年12月11日、総務省HPの
「ご意見・ご提案の受付」に提出した意見・提案
【 タイトル 】
予定価格の策定方法についての勘違いが、全国の自治体での性能発注方式の導入を妨げています。
【 意見・提案 】
全国の自治体では、公共工事発注時に問題続出の仕様発注方式(設計・施工分離発注方式)に加えて、性能発注方式を導入するために「◯◯市設計・施工一括発注方式(性能発注方式)実施要綱・要領」を整備する動きが20年以上前から継続しているところです。しかし、実施要綱・要領の中で、性能発注方式の対象として想定した工事が高度過ぎる(これでは、性能発注方式がその真価を発揮しやすい道路補修工事や水道管更新工事などの日常的な工事が全て対象外になってしまう)ことが直接の原因となり、どの自治体でも性能発注方式の導入は殆ど不発のままです。最大の問題は、工事発注に先立ち策定しなければならない予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する(会計検査が通らない)、といった国土交通省による勘違いが全国の自治体に浸透していることです。このことの当然の帰結ですが、どの自治体でも、性能発注方式で用いる要求水準書では詳細な施工図面に基づく緻密な積算に依る予定価格の策定ができないことを理由として、性能発注方式を忌避してしまっているのです。
それゆえ、仕様発注方式に起因する諸問題全てを解決できる性能発注方式を普及させる上で、国土交通省による勘違いを払拭することが先決であり、払拭後には「性能発注方式での予定価格」の適切な策定方法を示す必要があります。そこで、管区警察局県情報通信部(茨城2001年、福岡2005年、神奈川2008年と2011年)への会計検査院会計検査において、いずれも「適正に経理されている。」旨の講評を頂いた策定方法を以下に紹介します。
工事に用いる要求水準書では、価格と技術の両面での競争原理を働かせるため、受注者に実現を求める要求要件について、受注者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受注者が設計・施工する上で必要十分に記載することが肝要です。そして、予定価格は、選定理由明記の書面決裁で選定した複数の業者に、制定済みの要求水準書に基づく見積もりを文書で依頼して、徴収した見積書の査定により予定価格を策定します。この際、金額の査定に先立ち、見積書の見積日付、有効期限、宛先、件名、見積責任者の住所・氏名・捺印を確認した上で、要求水準書記載の要求要件について、見積書に計上漏れが無いかを確認することが肝要です。
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令和4年11月20日、総務省HPの
「ご意見・ご提案の受付」に提出した意見・提案
【 タイトル 】
地方公営企業が実施する水道管更新工事は、仕様発注方式から性能発注方式に変更して発注業務負担を低減させる必要
【 意見・提案 】
地方公営企業の水道管更新工事は全て、業務負担が多大な仕様発注方式(確定した詳細仕様、つまり、工事仕様書に基づいて施工を発注する方式)で発注しています。事前に策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった勘違いが地方公営企業にも浸透しているからです。しかし、地方自治法と地方自治法施行令では、予定価格は「その制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみであり、積算はその言葉すら見出せません。また、地方公営企業法には予定価格の言葉すらありません。従って、地方公営企業は、業務負担を大幅に低減できる性能発注方式(設計と施工を一括発注するため積算不可であり、適切な要求水準書に基づく適切な見積査定で適正な予定価格を策定)を用いても、全く問題は無いのです。
水道管の老朽管率が全国ワースト1である大阪市水道局では、仕様発注方式に起因する水道管更新工事の不適切事案が2019年に発覚しています。2012年から2017年に大阪市水道局が約1100件の水道管更新工事を発注したところ、件数で9割強の工事(500社近い業者が関与)で、工事仕様書の指定とは異なる安価な埋戻材料が使用されていたのです。仕様発注方式での工事完遂に欠かせない「発注者側による監督」が、殆ど機能していませんでした。その結果、道路の耐久性を今更調べることも困難な状況を招いてしまいました。そこで、このような問題を抜本的に解決するには、水道管更新工事を性能発注方式に変更することに尽きると言えます。性能発注方式では、工事仕様書指定材料を受注業者が勝手にオーバースペックと判断してしまったような事態は考えられません。また、仕様発注方式では、工事場所ごとに詳細な施工図面を作成して緻密な積算で予定価格を策定するため、発注には多大な労力が必要(大阪市水道局では年間約70kmの水道管更新工事の発注に190人もの職員が専従)ですが、性能発注方式では、監督の徹底を含めて数分の1の専従職員で対応可能となります。なぜならば、性能発注方式では、同種工事を反復実施する場合には、発注要件を示す要求水準書について、文言の一部修正と現場見取図等の差替で迅速的確に作成できるからです。それゆえ、水道管更新工事の性能発注方式への変更をご指導頂きたく、お願いする次第です。
【 上記意見の関係先にも提出しました。】
令和4年12月21日、大阪市ホームページの「区政・市政へのご意見・ご要望コーナー」を通じて、上記意見をその関係先として提出しました。
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令和4年11月19日、総務省HPの
「ご意見・ご提案の受付」に提出した意見・提案
【 タイトル 】
全国の自治体のごみ処理施設整備運営事業で1者応札が頻発する原因は、予定価格の策定方法についての勘違い
【 意見・提案 】
公共事業の発注に先立ち策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった勘違いが全国の自治体に蔓延しています。このような勘違いは、自治体が発注する公共事業において、1者応札が全国的に頻発する事態を招いています。
具体的には、ごみ処理施設整備運営事業について、平成26年から今年までに入札等の結果がネット検索により判明した30件(X吉野川市、X長崎市、敦賀市、豊橋市、宝塚市、X県央県南広域環境組合、福井市、X志太広域事務組合、枚方京田辺環境施設組合、X山辺県北西部広域環境衛生組合、霧島市、X北九州市、X福山市、佐賀県東部環境施設組合、西知多医療厚生組合、我孫子市、立川市,千葉市、X八王子市、守山市、出雲市、浜松市、宇佐高田国東広域事務組合、X糸魚川市、見附市、X町田市、大磯町、X船橋市、X城南衛生管理組合、上越市)を調べたところ、全体の4割に当たる12件(Xを付加)が1者応札でした。いずれも、積算による予定価格の策定ができるように詳細仕様を規定(特定の業者しか対応できなくなります)した「とんでもない要求水準書」を用いています。
ところで、自治体での契約を規定する地方自治法と地方自治法施行令では、「予定価格」は「その制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみであり、「積算」はその言葉すら見出せません。従って、「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。それゆえ、上記の1者応札の問題を抜本的に解決するには、これような勘違いを是正(つまり、予定価格は、積算に基づく必要は無く、適切な要求水準書に基づく見積書の適切な徴収査定で策定できること)した上で、価格と技術の両面での競争原理が働く「理想的な要求水準書」(つまり、受注者に実現を求める「機能と性能の要求要件」について、受注者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受注者が設計施工する上で必要十分に記載した要求水準書)を作成することと、このような要求水準書に基づく見積書(要求水準書の要件全てが計上されていること)の徴収と査定を適切に行って予定価格を適正に策定することが必要不可欠です。このため、このような勘違いを是正して頂きたく、お願いする次第です。
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令和4年11月12日、会計検査院HPの
「情報提供のメールホーム」に提供した情報
【 不適切等と思われる事態 】
「確定した詳細仕様に基づく積算に依る予定価格の策定」は法令上の根拠が無く、性能発注方式の適切な活用を阻害しており、全国のごみ処理施設(清掃工場)整備運営事業において1者応札が頻発する元凶となっている。
【 不適切等と思われる事態の内容 】
公共事業の発注に先立ち策定する予定価格について、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する、といった勘違いが全国に蔓延しています。このような勘違いは、性能発注方式の適切な活用を阻害し大きな弊害を生じています。その具体的な一例として、ごみ処理施設(清掃工場)整備運営事業(設計・施工・運営を一括して業者選定するため性能発注方式が必須)において、積算による予定価格の策定ができるように詳細仕様を規定した「とんでもない要求水準書」を作成するゆえに、あるいは、技術提案書として、確定した詳細仕様に基づく設計図書の提出を求めるゆえに、1者応札の事態を招く大きな弊害が全国的に生じているのです。
全国のごみ処理施設(清掃工場)整備運営事業について、平成26年から今年までに入札等の結果がネット検索により判明した30件について調べたところ、全体の4割に当たる12件が1者応札でした。いずれも、積算による予定価格の策定ができるように詳細仕様を規定した「とんでもない要求水準書」を用いています。また、このような「とんでもない要求水準書」の記載方法は極めて類似しているため、「とんでもない要求水準書」であることが各自治体では分からないままに、「モデルとなる要求水準書」として全国的に流布していると言えます。
ところで、国や自治体の契約に関する法令は、会計法、予算決算及び会計令、地方自治法、地方自治法施行令の4つです。この中で、予定価格の策定方法の規定は予算決算及び会計令のみにあり、他の3つの法令では「予定価格の制限の範囲内で」とする運用方法の規定のみです。予算決算及び会計令では、第七十九条で(予定価格の作成)について、第八十条で(予定価格の決定方法)について規定されていますが、要するに「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ということです。また、4つの法令のどこにも「積算」という文言を見出すことはできません。このことから、全国に蔓延している「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識は、勘違いも甚だしいと言えます。それゆえ、上記の問題、つまり、全国のごみ処理施設(清掃工場)整備運営事業において、積算による予定価格の策定ができるように詳細仕様を規定した「とんでもない要求水準書」を用いていることが原因となり、1者応札の事態を招く大きな弊害が生じている問題を解決するには、価格と技術の両面での競争原理が働く「理想的な要求水準書」を作成して、このような要求水準書に基づく見積書の徴収と査定を適切に行って予定価格を策定することが必要不可欠です。
具体的には、「理想的な要求水準書」として、受注者に実現を求める「機能と性能の要求要件」について、受注者に委ねるべき設計には決して立ち入らず、受注者が設計・製造・施工する上で必要十分に記載することが肝要です。そして、選定理由明記の書面決裁で選定した複数の業者に、制定済みの要求水準書に基づく見積もりを文書で依頼して、徴収した見積書を査定することにより予定価格を策定するのです。この際、金額の査定に先立ち、見積書の見積日付、有効期限、宛先、件名、見積責任者の住所・氏名・捺印を確認した上で、要求水準書に記載した「機能と性能の要求要件」について、見積書に計上漏れが無いかを確認することが肝要です。このような策定方法であれば、「予定価格は、仕様書、設計書等によって、適正に定めなければならない。」ことと合致します。
最後になりますが、国や自治体の公共事業の基本原則とされている「設計・施工の分離の原則」は、昭和34年1月に発出された建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」 の中で打ち出されたものです。以来、設計と施工の分離発注方式、つまり、仕様発注方式が全国津々浦々に波及し今日に至っています。このため、仕様発注方式は、他国に類を見ない我が国独自のガラパゴス的な発注方式ですが、日本人には、半世紀以上にわたって、グローバルスタンダードな性能発注方式の取り組み方に触れる機会も無いままに、仕様発注方式の取り組み方のみが連綿と引き継がれてきたと言えます。いわば、仕様発注方式は、日本人のDNAにしっかりと組み込まれているような存在です。このことが、全国のごみ処理施設(清掃工場)整備運営事業において、詳細仕様を規定した「とんでもない要求水準書」を殊更に用いようとする根源にあります。それゆえ、会計検査院には、全国に蔓延している「予定価格は、確定した詳細仕様に基づく緻密な積算に依るものでなければ法令上の規定に反する」といった認識を払拭して頂きたく、情報提供方々、お願い申し上げます。
【 以下は参考添付 】
全国のごみ処理施設(清掃工場)整備運営事業について、平成26年から令和4年までに入札等の結果がネット検索により判明した30件
【吉野川市】新ごみ処理施設整備・運営事業 入札結果情報(令和4年7月27日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【長崎市】新東工場整備運営事業 審査講評(令和4年7月1日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【敦賀市】新清掃センター整備・運営事業 審査講評(令和4年6月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【豊橋市及び田原市】ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(令和4年6月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【宝塚市】新ごみ処理施設等整備・運営事業 審査講評(令和4年6月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【県央県南広域環境組合】第2期ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(令和4年3月25日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【福井市】(仮称)新ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(令和4年1月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、3つの企業グループから選定
【志太広域事務組合】(仮称)クリーンセンター整備・運営事業 審査講評(令和3年12月24日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【枚方京田辺環境施設組合】可燃ごみ広域処理施設整備・運営事業 審査講評(令和3年12月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、3つの企業グループから選定
【山辺・県北西部広域環境衛生組合】(仮称)新ごみ処理施設整備・運営事業 民間事業者の選定客観的な評価結果(令和3年10月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【霧島市】(仮称)クリーンセンター整備・運営事業 審査講評(令和3年8月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【北九州市】新日明工場整備運営事業 客観的評価結果の公表(令和2年10月8日)
BTO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【福山市】次期ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(令和2年6月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【佐賀県東部環境施設組合】次期ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(令和2年5月15日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【西知多医療厚生組合】ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(令和2年3月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【我孫子市】新廃棄物処理施設整備運営事業 審査講評(令和2年1月14日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【立川市】新清掃工場整備運営事業 審査講評(平成31年4月)
DBO方式に基づく「条件付き一般競争入札」で、3つの企業から選定
【千葉市】新清掃工場建設及び運営事業に係る落札者決定について(平成30年11月27日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、3つの企業グループから選定
【八王子市】(仮称)新館清掃施設整備及び運営事業 審査講評(平成30年10月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【守山市】環境施設整備・運営事業 審査講評(平成30年7月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、4つの企業グループから選定
【出雲市】次期可燃ごみ処理施設建設運営事業 審査講評(平成30年6月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、3つの企業グループから選定
【浜松市】新清掃工場及び新破砕処理センター施設整備運営事業 審査講評(平成30年1月)
BTO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【宇佐・高田・国東広域事務組合】ごみ処理施設整備・運営事業 審査講評(平成29年11月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、2つの企業グループから選定
【糸魚川市】ごみ処理施設整備運営事業 審査講評(平成29年7月)
DBO方式に基づく「総合評価方式制限付き一般競争入札」で、1者応札
【見附市】新ごみ処理施設整備運営事業 事業者選定審査結果報告書(平成29年2月6日)
DBO方式に基づく「公募型プロポーザル方式」で、2つの企業グループから選定
【町田市】熱回収施設等(仮称)整備運営事業 審査講評(2016年10月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【大磯町】(仮称)リサイクルセンター整備及び運営事業 審査講評(平成28年1月8日)
DBO方式に基づく「公募型プロポーザル方式」で、2つの企業グループから選定
【船橋市】南部清掃工場整備・運営事業に係る落札者の決定について(平成27年12月3日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【城南衛生管理組合】折居清掃工場更新施設整備運営事業 審査講評(平成27年1月)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、1者応札
【上越市】廃棄物処理施設整備及び運営事業の事業者の選定に関する客観的な評価の結果について(平成26年3月31日)
DBO方式に基づく「総合評価一般競争入札」で、3つの企業グループから選定
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